2.厨房衛生のアウトライン

7洗浄・殺菌とは

ガンコな汚れや油汚れなどを落とすには、単なる清掃ではなく、水や洗剤を使った「洗浄」が必要です。洗浄の役割は「目に見える汚れを取り除くこと」「目に見えない汚れを取り除くこと」「微生物を可能な限り除去すること」の3点。この洗浄を終えたあと、さらに「殺菌」を行うことで、より衛生的な状態をつくることができます。

洗浄で汚れが落ちる原理

  • 界面活性剤を含む洗剤成分が汚れに馴染み、結合します。

  • 界面活性剤が汚れを取り囲み、浮き上がらせ、こするなどの力を加えると簡単に引き離されます。

  • 引き離された汚れは小さな粒に。ここで水などですすぐと洗い流され、表面がキレイになります。

洗浄⇒殺菌の励行で、
食の安全・安心を守りましょう

厨房の中でも、とくに水まわりは湿度・温度とも菌やウイルスの増殖に最適な環境にあるため、こまめな洗浄・殺菌が欠かせません。
7Sでいう「殺菌」とは、一般的な「菌を死滅させること」に加え、微生物を「除去する」「増殖させない」という意味を含んでいます。洗浄と殺菌を組み合わせ、安全な調理工程を実現しましょう。

水まわりの衛生、ここがポイント!

包丁

刃とグリップの接合部は、とくに洗浄が行き届きにくいため注意が必要。保管は「包丁保管庫」がおすすめ。

まな板

魚や肉、野菜など食材ごとに使い分け、使った後は表面のキズの中までこまめに洗浄を。

蛇口・水栓

蛇口の下部や裏側など、見えない部分は要注意。とくに水栓の取り付け部分などには汚れが溜まりがちです。

冷蔵庫取っ手

取っ手の裏側は、開け閉めするたびに手が触れる場所。忘れずに洗浄を習慣づけましょう。

食中毒菌・ウイルスの生息場所をなくし、
アルコール除菌剤で仕上げましょう。

目に見えない食中毒菌やウイルスを除去するには、洗浄⇒殺菌のステップを順守する必要があります。とくに、手や食品が直接触れる場所は、こまめに洗浄・殺菌を行う習慣をつけることが大切です。

「除菌・殺菌・消毒」の違いとは 

除 菌

石鹸などで洗い流したりして、物理的(あるいは化学的)に微生物の数を減少させることを言います。必ずしも微生物を殺すとは限りません。

殺 菌

文字どおり微生物に対して薬品などを用いて死滅させることです。ただし、殺す対象や程度は含まないことから、菌の一部を殺しただけでも「殺菌作用がある」と言え、必ずしも有効性を保証するものではありません。

消 毒

有害な微生物のみを殺したり除去することで、その毒性を低下させることです。殺菌は消毒するためのひとつの手段である位置づけられます。

【薬事法の規定】

薬事法では、用語の使い方などにも規定があります。
殺菌や消毒という用語は、消毒剤などの「医薬品」と薬用石鹸などの「医薬部外品」だけに使用が許されています。
「除菌」効果を謳う台所洗剤などがありますが、実は殺菌や消毒などの効果を持っていても、薬事法の規定があるために「除菌」という表現でないと効果を示すことができません。

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