2.厨房衛生のアウトライン
3しつけ(習慣)とは
食品衛生と「しつけ」という言葉、結びつきにくいかもしれませんが、実際に衛生の現場の最前線で活動しておられる専門家によれば、衛生環境づくりの成否は「しつけ」がカギを握っていると言います。つまり、いかに衛生環境のための活動を習慣的に行えるかということです。
衛生環境づくりが達成できない原因
●思うようにいかない(スタッフに浸透しない)
●成果が見えない(見た目/数値)
●(決めたことが)続かない
●見ていないと手を抜く
「しつけ」を文字どおりに考え、ただ作業の動作や手順を教えようとする時に、「7Sが上手く行かない」と感じるようです。
その理由は、何のためにやるのか、最終的には誰のためにやるのか、というモチベーションアップのための「心への働きかけ」が不十分な場合が多いため。自分の作業に意義を感じることができず、徹底できない、やる気がしない、適当にやり過ごすなどの行動にあらわれるのです。
一つひとつの作業やルールには、
すべて意味があることを理解してもらいましょう
衛生的な環境で食品の安全を第一に考えた作業を行うこと。それが「何のためなのか」についてコンセンサスを取っておくことが大切です。そして、それは端的に言えば、「店をご利用いただくお客様のため」という言葉に集約することができます。この言葉を原点として食品衛生の実現のためのモチベーションアップを図りましょう。
しつけとは、「ものごとのルール」を守り、実践すること
そのための仕組みをしっかりと作りましょう
「整理・整頓・清掃・洗浄・殺菌」の手順をスタッフ全員が守り、清潔な環境をつくることができる環境の整備が「しつけ」の基本。スタッフに周知徹底するための手法として、店内教育をシステム化していきましょう。
導入教育
新入社員や業務の異動者に食品衛生に関する基礎的な知識を教育。
OJT(現場で作業を行いながら上司や先輩が教育する)など現場単位での教育も併せて実施。
継続教育
月に1度(あるいは隔月)のペースで衛生管理について教育を実施。
ヒヤリ・ハット事例や時事ネタ、職場での手順の変更の周知なども含めて行い、「意識づけの場」とする。
「ルールを守る」ことの第一歩として、
アピアランスチェックを習慣づけましょう
見た目を整えることだけがアピアランスの目的ではありません。ユニフォームやアクセサリーの着用、手洗いなどの「決めごと」は、ホコリや異物の混入、細菌やウイルスの蔓延を防ぐ上で大切なポイントです。
髪の毛
抜け毛が食品に入らないように。長く垂らさず、ロングヘアは束ねます。作業中は髪に触れた手で食品を扱ってはいけません。
アクセサリー(指輪/時計など)
見た目はキレイでも細菌が付着している恐れが高いので、身に着けてはいけません。
化粧
ニオイの強い化粧で食べ物の香りを台無しにしないようにします。
手・指
やけどやキズ、手荒れは黄色ブドウ球菌が増殖しやすい部分。食器などに触れてお客様に菌を移すことのないよう注意しましょう。
爪
たくさんの菌が付着しています。つねに短く切り、正しい手洗いを励行しましょう。また、派手なマニキュアやネイルアートはお客様に不快感を与える場合もあります。
ポケット
ポケットの中のものは異物混入の大きな原因。仕事に必要のないものは入れないようにします。
ユニフォーム
つねに清潔をキープ。シワや着崩れしていると、不潔感やだらしのないイメージを与えます。
靴
靴の汚れは目につきやすいもの。また、汚れが付着していると、フロア全体に汚れを広げる可能性もあります。