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<実践!新たな衛生管理②>

「HACCP(ハサップ)」制度化の前にできることから。

前回もご紹介したとおり、「HACCP」は原則としてすべての食品関連事業者を対象として、制度化される方向で進んでいます。まだ、詳細は確定していませんが、いざという時にあわてないためにも、早いうちからの準備が大切。
今回は、「HACCP」の導入に向けた動きと、「HACCP」の考え方を取り入れた衛生管理のポイントをご紹介します。
※こちらのコンテンツの内容は2017年12月時点の情報です。

「HACCP」制度化に向けて本格的な動きを見せています。

「HACCP」制度化!

厚生労働省は平成28年度に実施した「食品衛生管理の国際標準化に関する検討会」を踏まえ、「HACCP」の制度化に取り組むことを決定しました。今後は食品衛生などの関連法令の見直しが進められ、3月に食品衛生法改正法案が閣議決定し、2020年6月には制度化されます。

どうして、「HACCP」の制度化が進められているの?

「HACCP」の制度化の目的はさまざまですが、中でも「衛生管理の定着を図り、安全性を向上させること」が大きな目的のひとつと言われています。消費者の衛生に対する意識が高まっている中、制度化が急がれる背景には、以下のような理由があるようです。

  • 食中毒事件数は
    近年下げ止まり傾向
  • 高齢者が増加の一途で
    食中毒の発生リスクが
    拡大傾向
  • 異物混入による
    回収件数が減少しない

食品の安全性のさらなる向上が必要!

  • [図1|食料品の異物混入に関する相談件数]

    図1|食料品の異物混入に関する相談件数 2009年度以降合計14,656件 その内、危害情報は2,583件(2015年1月10日までの登録分)
  • [図2|外食・食事宅配の異物混入に関する相談件数]

    図2|外食・食事宅配の異物混入に関する相談件数 2009年度以降合計1,438件 その内、危害情報は608件(2015年1月10日までの登録分)

HACCPの制度化で対応を急ぐ

世界から遅れをとった日本の現状‥‥

日本では「総合衛生管理製造過程承認制度」や「HACCP支援法」などを整備し、「HACCP」導入の促進を図ってきましたが、大手食品関連企業での導入が中心で、食品業界全体に浸透しているとは言えません。世界に目を転じると、先進国を中心にすでに制度化されていることもあり、2020年東京オリンピックなどを契機に日本の衛生管理水準を国内外に示したいという理由もあるようです。

「HACCPは難しそうだし、うちのお店じゃムリ!」ってホント?

一般の飲食店はほぼ基準Bに該当。難しく考えすぎなくても大丈夫!

「HACCP」の制度化は、すべての食品事業者が対象です。しかし、事業の規模などによって衛生管理を、「基準A」と「基準B」に分けて行う方向で検討されています。検討段階のため、確定していないことも多いようですが、仮に基準Bであれば、取り組むべき内容は厳格な基準Aに比べて比較的容易かもしれません。

基準A

対象:一定規模以上の製造業や大規模事業者など

導入要件:コーデックスのガイドライン※1に基づく「HACCP」の7原則※2を要件とします。

※1 「国連食糧農業機関( FAO )」と「世界保健機関( WHO )」の合同機関、「コーデックス委員会(国際食品規格委員会)」が定めたガイドライン。

※2 HACCPの7原則についてはこちらをご覧ください。

製品の特性や施設の状況に合わせ、「危害要因の分析」や「管理基準の決定」、「重要管理点の決定」など、7原則(12手順)を基に衛生管理を実施します。

基準B

対象:小規模事業者や飲食業、販売業など

導入要件:「HACCP」を弾力的に運用します。

手引書などを参考に重要管理点を必要に応じて設定し管理するなど、「HACCP」を弾力的に運用します。食品の特性や業態に応じて、異なる管理方法が設定され、小規模事業者でも取り組みやすい基準になるよう配慮される予定です。

「HACCP」の考え方を取り入れた衛生管理

「HACCP」のポイント

「HACCP」を導入する際に大切なことは、衛生管理において重要な工程を把握し管理すること。調理や清掃ごとに、誰もができるように手順や基準を組み込んだルールをつくることが大切です。ルールに則り衛生管理を行うだけでなく、その結果をしっかり記録することも「HACCP」には欠かせないポイントです。

では、ルールづくりと記録を効率よく行うための方法をご紹介していきましょう。

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