接触感染について

こうして起こる「接触感染」

接触感染とは、病原体に直接触れて感染すること。接触感染には、皮膚や粘膜に直接触れることで感染する「直接接触感染」と、病原体に汚染されたドアノブや手すり、便座などを介して感染する「間接接触感染」があります。

  • 直接接触感染
  • 間接接触感染

たとえば、接触感染する感染症にはこんなものがあります

汚染された手指やものを介する感染症

  • 感染性胃腸炎(ノロウイルス、サルモネラ菌など)
  • 腸管出血性大腸菌感染症(O-157)
  • メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症(MRSA)
  • インフルエンザ など

血液や体液を介する感染症

  • B型肝炎、C型肝炎
  • HIV感染症 など

動物などを介する感染症

  • 狂犬病
  • マラリア
  • 日本脳炎 など

飲食店では嘔吐物の処理、病院では医療器具の取り扱いなど、あらゆる場面に接触感染の危険が潜んでいます。接触感染する感染症はさまざまですが、中でも食中毒やインフルエンザは飲食店をはじめとする事業所で問題視されています。

接触感染の代表的なケースから見る感染経路

実際にどのような経路で、病原体が体の中に侵入するのか。接触感染の代表的なケースである「ノロウイルス」を通して見ていきましょう。

ノロウイルスの感染経路(一例)

  • 感染した人が嘔吐

    1感染した人が嘔吐

  • 病原体に汚染された汚物を処理

    2病原体に汚染された汚物を処理

  • 手などを介して体の中にウイルスが侵入

    3手などを介して体の中にウイルスが侵入

  • 感染

    4感染

やってはいけない汚物処理の方法

素手で汚物処理

素手で汚物処理

手に菌が付着し、ノロウイルスに感染する恐れがあります。

ユニフォームのまま

ユニフォームのまま

ノロウイルスが付着し、感染拡大の恐れがあります。

複数人で処理

複数人で処理

感染拡大を防ぐため、処理者以外は近づかないようにします。

窓を閉めたまま

窓を閉めたまま

換気を行い、室内のウイルスを減らすことが大切です。

水拭きだけ

水拭きだけ

水拭きだけでは、ノロウイルスの消毒まではできません。

汚物を乾燥させてから

汚物を乾燥させてから

乾燥すると細かな粉塵になり、感染拡大の原因になります。

汚物を処理する際に、上記のようなやり方で行うと、作業者が感染する恐れがあります。適切な汚物処理をするための道具と説明書がセットになった「汚物の処理ツールBOX」があるので、そちらを活用しましょう。

事業所を脅かす感染症は、食中毒だけではありません。インフルエンザもまた注意しなければならない問題。空気を介して感染すると思われるインフルエンザですが、実は接触感染もします。それでは、その経路を見ていきましょう。

インフルエンザの感染経路(一例)

  • 感染した人が口を手で押さえる

    1感染した人が口を手で押さえる

  • その手でドアノブやスイッチなどに触れる

    2その手でドアノブやスイッチなどに触れる

  • 感染していない人が汚染された箇所に触れる

    3感染していない人が汚染された箇所に触れる

  • 手を介して体の中に病原体が侵入

    4手を介して体の中に病原体が侵入

  • 感染

    5感染

対策はこうして…

手洗いの励行

スタッフ一人ひとりがこまめな手洗いを実施。手指消毒も忘れずに行う。

正しい手洗いの方法はこちら

除菌の徹底

アルコール除菌剤などで、菌が付着している可能性がある箇所を清掃。

非接触化

人が触れる箇所を極力減らす。オートディスペンサーのハンドソープ使用など。

今回は3つの感染経路の中から、「接触感染」についてご紹介しました。次回は、「飛沫感染」「空気感染」について取り上げます。感染は、介護施設や病院に限らず、さまざまな事業所で起こり得る問題。まずは、接触感染の対策から徹底しましょう。

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