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【サービス業 また来たくなる(買いたくなる)接客のポイント】

コラムをご覧の皆様、こんにちは。
株式会社船井総合研究所 地方創生支援部の廣内 南(ひろうちみなみ)です。

今回は、より永続性の高い店舗を運営いただくべく「サービス業 また来たくなる(買いたくなる)接客のポイント」と題し、リピート顧客の獲得について3つのポイントを踏まえながらお伝えします。
【サービス業 また来たくなる(買いたくなる)接客のポイント】
=今回のポイント=
■ 「保守7割 革新3割」の接客手法を目指す
■ 「守る」接客 ~顧客分析~
■ 「攻める」接客 ~間接的コミュニケーションの促進~
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■「保守7割 革新3割」の接客手法を目指す
本題に入る前に、皆様はリピート顧客(リピーター)を獲得するメリットについてご存じでしょうか。
リピーターは新規顧客に比べ、①継続的に来店・購買活動を行うため長期的な経営に繋がる。②新規獲得の1/5のコストでリピーター獲得が実現可能(1:5の法則)であるため集客コスト削減に繋がる。③客単価とLTV(ライフタイムバリュー=ひとりの顧客が店舗に支払う総額)が高い傾向にあることから、安定的な売上獲得の実現可能性が高いという特徴が挙げられます。これらのメリットからも、各飲食店においてリピーター獲得は対策すべき施策といえます。

それでは、また来たくなる(買いたくなる)リピーター獲得のポイントに参りましょう。
まず初めにおさえていただきたい考え方が「保守7割 革新3割」という経営法則です。この経営法則は、現状の7割は継続し、新たなチャレンジを常に3割行い続けることで経営上安定するという考え方です。これをサービス業・飲食店に置き換えると、「保守」=最低限守るべき飲食店経営のQSC(Quality・Service・Cleanliness)、「革新」=新たな商品開発やSNSなどを活用した販促対策、と考えられます。
リピーターの獲得においてはどちらも欠かせない項目にあたりますが、皆様の店舗ではどちらの対策にも注力できているでしょうか。永続的な店舗の運営に向けて、守り・攻めの一辺倒ではなく、現状維持とさらなる成長を見据えた施策を打ち出していく必要があります。
■「守る」接客 ~顧客分析~
飲食店の「保守7割 革新3割」の接客対策を行うにあたり、まず着目すべきは「守り」の接客です。攻めの姿勢ももちろん重要ではありますが、店舗の基盤ともなるQSCが整っていない限り、リピーターはおろか新規客の獲得もできない店舗にランクダウンします。
接客の面から考えると、不快感を与えない最低限の接客と、期待を超える満足感や感動を提供できるプラスアルファの接客の両軸が必要です。

まず着目すべき「守り」の接客は、リピーターの情報把握・分析です。現状、既存リピーターに関する詳細情報を、店舗スタッフ全体で共有できているでしょうか。リピーターの特性は、居酒屋や高級フレンチなどお店のジャンルや、地域性や店舗ごとの雰囲気によっても異なります。ゆえに、既存のリピーターが再来店に繋がった要素を解読し、今後注力すべき指標の一つに設定していく必要があります。「あなただけ/だから」と特別扱いされることでリピーターと店舗との関係性はより強固になっていきます。期間限定や数量限定と同じように、訴求力の高い限定接客を取り入れるためにも、まずは顧客分析を行う必要があります。

では、リピーターに関する情報収集を行うにはどのような方法があるでしょうか。スタッフ内での日報や口頭での情報共有に加え、有効的な方法に「ポイント/スタンプカード」の運用が挙げられます。このコラムでも何度かお伝えしているとおり、一定のポイント/スタンプを貯めて特典が付与されるカードは初回来店客への次回来店を促すきっかけづくりになるだけではなく、カードを持っている顧客=リピート顧客という明確な判断基準ができます。ポイント/スタンプカードには紙やプラスチック素材の現物タイプがある一方、ここ数年はLINEでの発行も増えてきました。まだカード販促を始めてない店舗は特に、LINEのショップカードがおすすめです。紙などの現物タイプに比べて費用が安く抑えられるうえ、情報を細かく取得・分析できるメリットがあります。

例えば都内の、あるカフェレストランでリピーター獲得を目的にLINEを活用している事例です。販促としては、入口商品(集客)にあたる月別クーポンの配信と、出口商品(固定客化)にあたるショップカードを整備しています。このクーポンとショップカードを利用する場合、顧客自身がLINE会員にならなければなりません。つまり、顧客情報の獲得から収集までがLINEに集約されることになりますが、いずれの施策においても分析が必要です。ショップカードに設定されたクーポンを含め、クーポンの開封率と使用率を測ることができます。ショップカード単体では日別ごとに各ポイントの取得人数も測れるため、リピート顧客に繋がりやすいクーポン内容の分析もできます。リピーター分析を始めるにあたり、まずはポイント/スタンプカードの活用・分析から始めてみましょう。
■「攻める」接客 ~間接的コミュニケーションの促進~
次に「攻める」接客にあたるリピーター施策の応用編、積極的なコミュニケーションの実行です。リピーター獲得ができない要因は大きく2つあります。1つ目は、商品・サービス自体への不満・不信感があることです。消費者の意見はSNSをはじめ、Googleマップや各種ポータルサイトの口コミで確認できます。インターネットの普及により第三者評価が発信されやすく誰でも見られる環境に変化した一方で、口コミ評価のよしあしで来店意向が左右されます。そういったオンライン上での評価に対して、対応はできているでしょうか。評価のよしあしに関わらず返信を行うことで、店舗側の誠意だけではなく、細かなところまで目が行き届いているという姿勢を示すことにもなります。
実店舗でクレームがあった際の対応と同様に、今の時代はオンライン上でも誠心誠意、接客を行うことがサービス業には求められます。まずは月1回の頻度からでも各種口コミ評価を確認し、返信対応するルールを構築していきましょう。

リピーター獲得ができない要因の2つ目は、顧客が店舗の存在を忘れてしまっていることです。来店の際に不満はなかったが、特段これといった強いインパクトや再訪したいほどの感動がなかったことが考えられます。ただ、不満を持った顧客に比べ、再来店する可能性が十二分にある顧客ともいえます。これら顧客に対しては、まずは新規顧客の獲得にも繋がるInstagram等SNSの定期的運用から始めてみましょう。
新商品やイベント情報だけでなく、店舗の提供メニューやこだわりのポイントについて発信を行うことで、1回の来店だけでは知りえない情報を届けることができます。その次にはLINEやメルマガでも発信を行いましょう。特にLINEは日常的に使用する連絡ツールのため、営業感を与えずに情報取得が成される傾向にあります。そういったLINEやメルマガでは、Instagramなどの拡散型SNSとは異なり、登録者だけが利用できる限定的なお得意様向け発信が効果的です。会員の先行者メリットを訴求する、情報解禁のタイミングをずらした発信や、会員限定のクーポン配信も有効です。いずれにせよ、販促専門の担当者を位置づけ、定期的かつ継続的に発信しなければ意味がありません。Instagramは毎日発信、LINEやメルマガは週1回配信を目標に、運用体制の構築も視野に入れるべきです。

最後に、店舗の基盤ともなるQSCのうち、C=クレンリネスについて少しお伝えします。
まもなく夏本番を迎えますが、夏特有の環境整備はできているでしょうか。特に暑さ対策に必須のエアコンがしっかり清掃できていない場合は、プロにお任せするのも一つの方法です。この時期、市販のエアコン清掃商品が出ていますが、実際には内部までは清掃できず、また使い方によっては故障の原因にもなります。安全にエアコン内部まで高圧洗浄ができる業務用エアコンクリーニングサービスなどをうまく利用し、時短かつ手軽に来店顧客の不快感を取り除いていきましょう。

今回は「サービス業 また来たくなる(買いたくなる)接客のポイント」をテーマにお伝えしました。よい商品や美味しい食事があたりまえの時代に移り変わってきた今だからこそ、他店との差別化を明確化し、継続的に愛してくれる熱狂的なファン顧客の育成が重要になっています。
今回お伝えしたリピート顧客獲得の接客のポイントをおさえ、現状チェックと積極的な施策を行う体制作りから始めてみてください。

▼関連コラム
【これからのリピーター(ファン)づくり】
https://biz.duskin.jp/biz/b_column/index_100.html
【これからの飲食店経営のポイント】
https://biz.duskin.jp/biz/b_column/index_86.html
【リピーターになっていただける接客力の身に付け方】
https://biz.duskin.jp/biz/b_column/index_06.html
◆執筆者プロフィール◆
株式会社船井総合研究所 地方創生支援部 観光フードグループ
廣内 南(ひろうち・みなみ)
新卒で株式会社船井総合研究所に入社後、一貫して地方創生分野のコンサルティングに従事。特に異業種からの単品特化型スイーツ専門店立ち上げおよび、活性化に数多く携わり、地元菓子マーケットでの新業態開発にも数多く取り組む。SNS活性化提案や、Web活用のプロモーション戦略に強みを持ち、特にPOP作成などクリエイティブ領域におけるコンサルティングに定評がある。
【株式会社船井総合研究所】
国内最大級の経営コンサルティング会社の「フードビジネス専門サイト」
https://food-business.funaisoken.co.jp/

(公開日 2024年6月18日)

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