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【効果的に人材育成を行う方法① ~新人育成編~】

コラムをご覧の皆様、こんにちは。
株式会社船井総合研究所 地方創生支援部の光永春華(みつながはるか)です。

今回は、効果的に人材育成を行う方法と題して、特に「新人育成」に特化した内容でお伝えします。
【効果的に人材育成を行う方法① ~新人育成編~】
=今回のポイント=
■ 放置したらもったいない!新人育成の重要性
■ 新人の育成スピードの上げ方
■ 新人育成の際にするべきおすすめの取り組み
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■ 放置したらもったいない!新人育成の重要性
昨今、働き手不足は深刻化しており、特に人の入れ替わりが激しい飲食業界では慢性的な人手不足に悩まされています。では、なぜ人手不足に陥るのでしょうか?その要因の一つとして、新人スタッフがすぐに辞めてしまうことが挙げられます。
一般的に辞める原因になりやすい要素としては「充分な仕事のレクチャーをしてもらえない・ケアをしてもらえない」といった点があります。具体的には、既存スタッフが忙しく教育が行き届かない・毎回シフトインするたびに教えてもらうが先輩スタッフによって対応が違う、といったような不安要素が原因となるケースです。

新人スタッフが辞めてしまうとこれまでに採用や新人教育にかけたコストが無駄になるうえに、新たなスタッフの募集をしなければならず、結果的に仕事が増えてしまいます。そのため新人スタッフの育成は力を入れたい業務の一つでもあります。新人スタッフが育てば店舗全体の業務スピードが上がり、売上の増加にも寄与します。
採用媒体に募集をかけると費用が掛かるため、近年の飲食業界では既存スタッフの紹介で人員を募集するというケースも増えています。その際は、紹介したスタッフに5,000円、スタッフとして新たに入ってくれた方に5,000円といったように、謝礼を用意して促進するケースもあります。

私たちのお客様の中にも紹介制度を実施している店舗がありますが、既存スタッフの紹介であるため、しっかり業務をこなし、長く働いてくれる質の高い人材が集まりやすい傾向にあるとのことでした。一見、出費のように感じる紹介制度も、その後のスタッフ定着率を考えると費用対効果は抜群です。
このように新人スタッフの育成が上手くいき、定着率が上がると、業務スピードの向上により売上を達成しやすくなるだけでなく、スタッフからの紹介という手段で人員を確保できるため、採用媒体に頼らない人材確保が実現できます。
■ 新人の育成スピードの上げ方
さて、第一章では新人育成の重要性をお伝えしましたが、具体的にどのような点に注意して教育するべきか、わからない場合もあるかと思います。ここからは新人育成をする上でのコツをご紹介できればと思います。
まず大前提として「段階を踏んで教えること」です。新人スタッフにいきなり大量の業務を与えて負担をかけてしまうと辞める原因の一つとなってしまいます。特に新人のうちは日常生活を過ごしていればできそうなことを最初の業務としましょう。
例えば、キッチンスタッフであれば皿洗いや、サラダとして使うレタスをひと口サイズにちぎるなど、すぐにできる簡単な業務から任せましょう。ホールスタッフの場合も皿洗いや店内清掃といった業務から始めると良いです。

たとえばお客様がお店を選ぶ際、トイレの綺麗さを考慮して決めるといった方も一定層いるため、新人教育の入り口としてトイレ掃除をレクチャーすることで、お店全体の顧客満足度も高めることができます。また、トイレ掃除をした後に記名するフローにすることで新人スタッフの責任感も生まれ、達成感を得やすくなります。しかし、スタッフの中には清潔感のない掃除用具、特にトイレまわりの用具には触りたくないといった人もいるかもしれません。特に衛生面が気になるトイレの清掃用具は、消臭・抗菌加工がされており、定期的に交換されるレンタルモップを活用するなどの工夫をすると、手軽に働きやすい環境づくりができます。
例えばダスキンの「化粧室・トイレ用モップ」であればモップ使用後の水洗いが不要で、通気性のよい場所に吊るしておくだけという手軽さです。最近ではトイレ清掃に特化したスプレータイプのマルチクリーナーなども出ており、これらとセットで使えば、面倒な準備・水洗い・二度拭きも不要になり、より清掃時間が短縮できます。
■ 新人育成の際にするべきおすすめの取り組み
ここまで、新人育成の重要性とポイントをご紹介してきました。ここからは新人育成を行う際におすすめの取り組みを具体的にご紹介します。
まず、短期間で新人を育成できる最大のツールとして「マニュアル」の作成をおすすめします。業務マニュアルを作成しておけばレクチャーする既存スタッフの負担を軽減できるうえに、スタッフ間での指導内容の食い違いも防げます。
その際マニュアルには、ただ文字を並べるだけでなく画像を付けることで理解度が高まります。視覚から得る情報は忘れにくいものです。特に外国人を雇用している店舗は言語の壁もあることでしょう。さらにマニュアルを動画化すると、一連の流れをレクチャーしやすいです。
加えて、マニュアルを渡すだけでなく、いつでも確認できる状態を作ることも大切です。具体的には常にスタッフルームにマニュアルを置いておくなどです。もしもスタッフ用のLINEアカウントがあるのであれば、設定でリッチメニューを付けておき、そこからアクセスすることでマニュアルに遷移できるようにするなどの方法もあります。

また、マニュアルと合わせて用意したいツールとして「チェックリスト」があります。チェックリストでは、新人育成の際にレクチャーをする一通りの業務をリスト化し、レクチャーを終えたらチェックボックスにチェックします。このリストを用意することで、指示するスタッフが毎回変わってもどこまで教えたかがわかり、共有忘れがなくなります。なお、チェックリストの項目の隣に優先度を記載しておくと、さらに効率よく指導ができます。このようなツールを用意することで、習得するべき業務とレクチャーの進捗状況を可視化しましょう。

ツールを準備するだけでなく、それを用いてレクチャーする指導者の育成も重要です。
一般的には店長が担当することもあるかと思いますが、店舗内のスタッフで、ある程度の経験がある方をトレーナーとして認定することで、店長の負担を軽減することができます。あわせてトレーナー認定時には時給がアップするなどのメリットを設けると、指導するスタッフ自身のモチベーションアップに繋がります。
トレーナーだけでなく、新人スタッフにおいても挑戦しやすい時給アップ施策を設けることで早期辞職を防ぐことができます。なかには研修期間中に辞めてしまうというケースも多いため、研修期間が終わった段階で時給がアップするような取り組みをしている店舗もあります。

ここまで、新人スタッフ・トレーナースタッフがレクチャーされやすい・しやすい取り組みをご紹介してきました。これらの取り組みと並行して行うと良いのが、スタッフ間の仲を深めることです。私たちの客先である店舗さまでも、年末におつかれ様会を開催したり、勉強も兼ねて繫盛店の視察会をしたりと各社さまざまな施策をされています。
なかでも、新商品開発コンテストをしてスタッフが考案した商品を実際に販売する取り組みや、スタッフ間で日頃の感謝を書き込み共有する「サンクスノート」の導入は、スタッフ間の仲を深め、定着率の向上に繋がっています。

今回は、効果的に人材育成を行う方法①~新人育成編~と題し、新人育成について効果的な手法をお伝えしました。「マニュアルやチェックリストなどのツールの拡充をする」「教える側となるスタッフの育成体制を構築する」「時給アップの施策を検討する」「社員間の仲を深め、辞めない組織づくりをする」など、どれもすぐに取り組めるものです。
働く環境を整えて新人スタッフの育成スピードを上げるとともに、定着率も上げていきましょう。

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◆執筆者プロフィール◆
株式会社船井総合研究所 地方創生支援部 外食グループ
光永春華(みつなが・はるか)
大学卒業後、船井総合研究所に入社。入社後は、Instagram・Twitter(現X)・TikTok・LINEなど、あらゆる媒体を駆使した、外食企業におけるプロモーションを得意とする。また、Web集客に強い商品の提案もおこなう。SNSに強い商品とSNSを活用した販促の両輪のご提案でお客様の業績向上を目指している。
【株式会社船井総合研究所】
国内最大級の経営コンサルティング会社の「フードビジネス専門サイト」
https://food-business.funaisoken.co.jp/

(公開日 2024年1月22日)

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