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【デジタルツール活用によるCS(顧客満足度)向上】

コラムをご覧の皆様、こんにちは。
株式会社船井総合研究所 地方創生支援部の大橋隆人(おおはしたかひと)です。

今回は「デジタルツール活用によるCS向上」と題し、ポイントを踏まえながらお伝えします。
CSとはCustomer Satisfactionの略で、顧客満足度を意味します。
【デジタルツール活用によるCS(顧客満足度)向上】
=今回のポイント=
■ CS向上には現状把握が必須
■ デジタルツールを用いた店舗改善のためのPDCAサイクル
■ デジタルとアナログの掛け合わせによるCS向上
■ 店舗やパブリックスペースのCSを向上させるには
=========
■ CS向上には現状把握が必須
飲食店においての顧客満足度には、「料理のおいしさ」「提供スピードの速さ」「店員の接客の良さ」「店内の清潔感」などの様々な要素があります。そして、お客様によって満足度が高いと感じる要素は異なる場合があります。同じ店でも「料理がおいしい」という理由で満足度が高いと感じる方もいれば、「店舗の雰囲気が良い」という理由で満足度が高いと感じる方もいる、ということです。
ひとことで顧客満足度を向上させるといっても、「何が」その向上につながるかを把握する必要があります。また、そこからどの要素を改善していくのか、どのように改善をしていくのかということを項目化し、優先順位をつけて取り組んでいくことが重要です。CS向上においてはQSC(品質・サービス・清潔さ)の向上が重要といわれる場面が多いですが、具体的にどう改善していくのかを明確にしていくことで、より効果の高い結果が生まれます。
その第一歩として、お店がどう思われているのかを評価として客観的に把握する必要があります。顧客満足度はいわば、お客様のお店に対する評価です。お客様の声を知るアンケートなどを通じて、お店の現状を把握することがCS向上におけるポイントです。
■ デジタルツールを用いた店舗改善のためのPDCAサイクル
前章で、CS向上の第一歩としてお店の評価を客観的に把握する必要があると述べました。本章ではお店の評価をもとに店舗改善を進める考え方としてPDCAを用いてお伝えします。
最初に、顧客満足度を向上させるための店舗改善の大まかな流れです。
①現状把握
②課題点の発掘
③課題点の原因究明
④改善案の立案
⑤改善案の優先順位決めと実践
⑥実践した改善案の評価
⑦ ⑥に基づいた追加課題の洗い出し、継続すべき施策、中止施策(効果がないもの)、新規課題を選定する。

上記の①から⑥の流れを計画立てて繰り返しおこなっていきます。これは店舗改善に向けて、いわゆるPDCAサイクルを回すということです。PDCAサイクルにこの①から⑥を当てはめて考えると以下のようになります。
Plan:①現状把握、②課題点の発掘、③課題点の原因究明、④改善案の立案
DO:⑤改善案の優先順位決めと実践
Check:⑥実践した改善案の評価
Action:⑦ ⑥に基づいた追加課題の洗い出し、継続すべき施策、中止施策(効果がないもの)、新規課題を選定する。

このPDCAサイクルを回すうえで、特にPlanの「③課題点の原因究明」と、Checkの「⑥実践した改善案の評価」の2つの項目が重要になります。
まず、Planの「③課題点の原因究明」です。課題に対する原因追及を正確におこなわなければ適切な改善案を考えることはできません。例えば「提供スピードが遅い」という課題があった場合に、原因を深く検討せず「スタッフの人数を増やす」「スタッフに提供スピードを上げるよう呼びかける」という改善案を進めたとします。「スタッフの人数を増やす」というのは効果がある可能性もありますが、実は人手が十分に足りている場合、むしろ人が増えたことでスタッフ間での混雑が起こり、結果的に提供スピードが遅くなる可能性もはらんでいます。もう一つの「スタッフに提供スピードを上げるよう呼びかける」については、そもそもスタッフの調理スキルに問題があるのか、キッチン内の導線に問題があるのか、問題点がわからない限りは意識レベルでの改善案となり、具体的な行動が起こしにくいということが挙げられます。そのため、より具体的な行動改善を起こせるよう、提供スピードが遅い原因は何かを正確に把握する必要があります。

次にCheckの「⑥実践した改善案の評価」についてですが、店舗改善において、改善案を実践したものの、結果どうなったかを評価しないままに終わってしまうケースがよくあります。この場合、そもそも適切に改善案は実行され、課題は改善されたのか。その把握が肝心です。ここでは成功か失敗かを判断しつつ、双方に成功要因、失敗要因を具体的に把握しておく必要があります。先に述べたPlanの「③課題点の原因究明」と同様ですが、「何が良くて成功したのか」「何が問題で失敗したのか」を具体的に分析しなければ、適切に次のActionを起こすことはできません。ここでいう具体的というのは「行動可能なレベルまで落とし込んで考える」ということです。例えば5W1Hで考えてみると、いつ・どこで・だれが・何を・なぜ・どのように、という切り口から考えていき、どこに原因があるのか?というようにひも解いていくのもよいかと思います。

さて、お店の評価をもとに店舗改善を進める考え方をお伝えしましたが、これらのことを適切かつスピード感をもって進めるためにはデジタルツールの活用が必要です。
例えば次のようなデジタルツールです。
・お客様の声を適切に回収する「Googleフォームの活用」
・来店頻度分析や顧客情報を獲得する「店舗アプリ活用」
・進捗状況をリアルタイムに確認できる「スプレッドシート・BIの活用」

Googleフォームとは、無料でアンケートの作成ができ、お客様の携帯から簡単に入力していただけるツールです。冒頭で、お店の評価を客観的に把握することが必要だと述べましたが、お客様から直接言われたお声やご意見などは、多少の個人の解釈が入ってしまったり、内容の抜け漏れが発生する可能性があります。また、店舗として本当に聞きたい情報というのは、直接的に正確に収集することがなかなか難しい現状があります。そのためGoogleフォームというデジタルツールを使用することで、より正確に、かつ店舗として収集したい情報を得やすくなると考えています。これまで主流だった紙媒体でのアンケート回収の場合、データの蓄積や集計に時間と手間がかかります。やはりデジタルツールを活用してスピード感を持って進めることをおすすめします。

店舗アプリについては、開発に時間と費用がかかる反面、お客様ごとの顧客情報の獲得や来店頻度などが把握できるため、CS向上の観点ではより正確な情報が掴めます。例えば店舗改善にあたり「リピーター数の向上」が課題としてある場合、どのような客層がどれくらいの頻度で来店しているのかという情報を正確に把握したうえで施策を打てます。また、改善案の評価に対しても肌感覚ではなく客観的な数値として可視化できるため、より精度の高い判断をする意味でも店舗アプリの活用は一つの手段だと考えています。

最後にスプレッドシート・BIについてです。スプレッドシートは同時に編集・閲覧が可能なExcelファイルのようなものです。PDCAサイクルを回していくにあたり、進捗確認事項や取り組み事項が膨大になる可能性があります。その際、同時に何名もが編集と閲覧ができるスプレッドシートを活用することで、電話やチャットなどで個別に進捗や状況の確認をする手間が省け、よりスピード感を持って施策の状況把握が可能となります。
BIとはBusiness Intelligenceの略で、収集したデータを有効活用することを意味します。店舗ごとに集計したアンケートや売上状況、確認したい目標数値などを入力していくことで、自動的にリアルタイムでグラフ化し可視化されるというものです。BIを活用することで店舗の数値情報をより瞬時に把握することができます。例えば接客の質が悪いという課題がある場合、アンケートで集計した接客の点数をリアルタイムでグラフとして確認できるため、PDCAのサイクルをより早く実践できると考えています。

このように、PDCAサイクルとデジタルツールを掛け合わせて活用することで、適切かつスピード感をもってCS向上施策を進めていくことができます。デジタルツールは自社や店舗に合うものを上手に掛け合わせていくことで、より成果につながりやすくなります。まだデジタルツールを活用されていないのであれば、まずはアンケートなど簡単なものから検討してみるとよいかと思います。
■ デジタルとアナログの掛け合わせによるCS向上
これまで、デジタルツールの活用と顧客満足度の向上方法についてお伝えしてきましたが、ここではデジタルツールの活用とアナログ施策の掛け合わせによるCS向上方法についてお伝えできればと思います。
ここでいうデジタルツールとはスタッフの工数削減に向けたもので、例えば「モバイルオーダー」や「タッチパネル」などです。こうした省人化を見込めるデジタルツールの導入は人件費削減目的で導入する場合もありますが、裏を返せば、CS向上施策に人手を割ける、ということでもあります。
ある食べ放題チェーン店での事例を紹介します。タッチパネルはもちろん配膳ロボなどの活用によって省人化を図ることで、お客様の席でスタッフが簡単な調理をするサービスを開始しました。お客様との接触頻度を上げることでCS向上を目指す取り組みをされ、効果が出始めています。
■ 店舗やパブリックスペースのCSを向上させるには
ここまでデジタルツールを活用したCS向上手法をお伝えしてきました。最後に、最も基本に立ち返ったCS向上策をお伝えしたいと思います。
冒頭でQSC(品質・サービス・清潔さ)について少し述べました。QSCのなかでも改善を図りやすいのがCleanliness(清潔さ)です。店舗や事務所の中で最も汚れやゴミに気づきやすく、目がいく場所はどこでしょうか。それは床と化粧室(トイレ)です。ここがきれいに保たれていれば店舗の印象は大幅に良くなります。最近では高機能の吸水モップなども出ており、二度拭き不要なうえ使用後は洗う必要がないなど清掃後の手入れも簡単です。清掃用具は衛生がいちばんの課題となるため、これらはレンタルやリース契約で解決するのが適当だと考えます。多くのお客様が目にする床とトイレは常に清掃を心掛け、CS向上を目指しましょう。

▼関連コラム
【afterコロナにおける業績アップ手法は顧客管理の徹底】
https://biz.duskin.jp/biz/b_column/index_82.html
【非接触で獲得できるGoogleフォームを活用したアンケートの実施】
https://biz.duskin.jp/biz/b_column/index_73.html
【業績UPにつながるCS(お客様満足)向上活動】
https://biz.duskin.jp/biz/b_column/index_24.html
◆執筆者プロフィール◆
株式会社船井総合研究所 地方創生支援部 外食グループ
大橋 隆人(おおはし・たかひと)
大学卒業後、船井総合研究所に新卒入社。飲食企業を実家に持つ。
事例主義を掲げ、現在は焼肉企業担当のコンサルタントとして全国の焼肉店を行脚し、新規出店、既存店活性化のコンサルティングに携わっている。
Google広告やSNS活用などWeb販促を中心に、現場に寄り添うサポートをおこなっている。
【株式会社船井総合研究所】
国内最大級の経営コンサルティング会社の「フードビジネス専門サイト」
https://food-business.funaisoken.co.jp/

(公開日 2023年12月25日)

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