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【進化した配膳ロボットの活用方法】

コラムをご覧の皆様、こんにちは。
株式会社船井総合研究所 地方創生支援部の伊藤康貴(いとうやすたか)です。
今回は、進化した配膳ロボットの活用方法についてお伝えします。
【進化した配膳ロボットの活用方法】
=今回のポイント=
■ 小型店舗でも活躍できる!配膳ロボット導入が向いている店舗
■ 人件費削減だけじゃない!配膳ロボットの活用手法と効果
■ 次に検討したいサービス業界向けのロボットとは?
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■ 小型店舗でも活躍できる!配膳ロボット導入が向いている店舗

周知の通り、人手不足や生産性向上は喫緊の経営課題です。この対策として、飲食店ではコロナ禍の2021年頃から配膳ロボットがこれまで以上に導入されるようになりました。
特に、規模が大きく配膳量も多いことから、郊外に立地している100席以上の食べ放題業態を中心に導入が進みました。一方、この時の配膳ロボットは月額で10万円ほどの費用がかかり、また通路幅も60~80cmほど確保できなければ導入が難しく、活用は一部の店舗に限られていました。

しかし最近では配膳ロボットの種類も増え、費用も手頃かつ狭い通路幅でも導入できるモデルがいくつか登場しています。そのため、これまで費用や店舗環境の面から導入を見合わせていた店舗も検討し始めています。
例)従来のロボット 月額10万円程度 通路幅60cm~
最新のロボット 月額5~6万円程度 通路幅55cm~

具体的には、席数50席程度のラーメン店やカフェ、居酒屋などです。
導入に向いている店舗の特徴として下記が挙げられます。
①通路幅が55cm以上あり、ロボットの安定走行が確保できる
②通路に段差がなく、走行時の揺れが少ない
③席の近くにロボットが停止できるスペースがある
④人手が足りておらず、営業時間を短縮している(労務環境が悪化している)
⑤人手が足りておらず、デリバリーの受付を止めている

最新のロボットは従来型よりも手頃なため、30~50席の小型店舗でも十分に費用対効果を得られます。また、揺れに対する強度も問題なく、ドリンクや汁物(ラーメンを含む)でも安定して提供することができます。

店舗や業態によって最適な配膳ロボットの種類は異なるため、安全面、使いやすさ、保守サポート、費用対効果の面から比較し、選定をすることが重要です。
また、実際にテスト導入できることが多いため、複数の種類のロボットを店舗で試してみることをおすすめします。
■ 人件費削減だけじゃない!配膳ロボットの活用手法と効果

これまで100台以上の配膳ロボットを当社経由で導入してきましたが、上手に活用することで様々なメリットが得られました。

▼導入メリット①人件費の最適化
ある店舗では配膳ロボットを導入することで人件費の最適化に成功し、結果的に人件費を削減でき、ロボットの月額費用を回収する以上の費用対効果が得られました。
この店舗ではシフト作成の際に配膳ロボットを0.5人分として換算し、今まで余剰に入れていた人員を削減しました。具体的には以下のとおりです。
・1名シフトだった時間帯には配膳ロボット+1名で負担を軽減
・3名シフトだった時間帯は本来2.5名が適当だが、2名だとキツいため3名で組んでいたところ、配膳ロボット+2名で実施
このような形で配膳ロボットを0.5名換算することで、余力時間を削減した最適なシフト運営が可能になりました。

▼導入メリット②売上の向上
店舗規模が小さい場合、スタッフ数も限られるため、シフト削減だけではどうしても費用対効果が出ない場合があります。そこで実施しているのが売上アップのための施策です。
当社のお付き合い先であるラーメンチェーンでは、配膳ロボットの導入で売上を110%アップさせました。
こちらの店舗ではアルバイトスタッフの採用活動をしてもなかなか人が集まらず、営業時間を短縮していました。そこで配膳ロボットを導入し、今まで1名では運営できずに営業を断念していた時間帯に、配膳ロボット+スタッフ1名で営業を開始しました。
配膳ロボットはラーメンだけでなくドリンクなどもすべて運ぶことができるため、スタッフは調理に集中することができました。スタッフの休憩時間を確保しながらも営業時間を伸ばし、今まで獲得できなかった売上を達成できたのです。この店舗での配膳ロボットの費用対効果はご想像のとおりです。

また、ある別の店舗では、スタッフ数が足りずにお客様が帰った後の席をすぐ片付けることができず、しばらくお客様に待っていただく状況でした。席が空いているにも関わらず案内できないため、なかには待つのをあきらめて帰ってしまったり、客を軽視しているといったクレームが出ることもありました。そこで配膳ロボットの導入に踏み切りました。
ロボットに配膳業務をさせるのはもちろんのこと、「動くサービスステーション」の役割も持たせました。清掃が必要な客席に、清掃道具一式をのせた配膳ロボットを向かわせるのです。そのロボットが移動することで、近くにいるスタッフは片付けるべき客席にいち早く気づき、空いた皿を配膳ロボットに乗せ、連続して片付けることができました。

今までのバッシング(使用後の皿やグラスを下げる作業)ではスタッフが客席から洗い場まで往復していたところ、そのほとんどをロボットが行うこととなりました。結果、お客様の回転率も向上し、売上アップに繋がったのです。

配膳や清掃ロボットの活用で空いた時間は、例えばデリバリーやテイクアウトの販売をスタートさせたり、小売店であれば店内POPの作成に充てるなど、ロボットの導入がもたらす効果はさまざまです。工数を削減するだけでなくスタッフの負担も軽減させながら、労務環境を改善し、売上アップを図ることができるのです。ロボットの導入は月額費用以上のメリットが得られます。

とはいえ実際に配膳ロボットが入っている小型の店舗を視察すると、食べ放題などでの配膳ロボット活用法とは異なり、営業中にフル活用というわけではなく地味に所々で動いているパターンが多いです。そのため少し現場視察をするだけでは効果がわかりにくく、「これでは導入しても意味がない」「売上に直結する気がしない」と検討を断念する方もいます。そうではなく、しっかりと上記のような形で戦略的に導入すれば費用対効果が得られる仕組みです。
■ 次に検討したいサービス業界向けのロボットとは?

今回は進化した配膳ロボットの活用方法を紹介しましたが、今後サービス業界向けのロボットの導入は配膳ロボット以外にも進んでくると思われます。

ある店舗では人気商品の焼き飯のクオリティアップと調理工数削減のための自動調理ロボットを導入しましたし、他の店舗ではスイッチを押すだけで自動で製麺したのち麺を茹であげるところまでおこないます。またある店舗では、最短ルートで床清掃を行うことができるロボットを活用しています。
これらのことから、皆様もぜひ一度業務の見直しをしていただき、上記のようなロボットの導入が有効かどうか検討していただきたいと思います。

ロボットを選ぶポイントとしては、配膳ロボットと同じく
①導入目的を設定する
②導入できるかどうか店舗構造を把握する
③複数社を比較する
この視点を忘れずに検討してみてください。

どんな業種の方にも共通して、時間が取られるが重要な作業といえば、清掃業務ではないでしょうか。清掃ロボットであれば月額4~5万円程度で導入可能であり、なおかつ人がおこなうよりもムラなく仕上がるという利点があります。

例えば床清掃に特化したロボット「Whiz」の場合、人が清掃した後と比較すると空間浮遊菌量を減少するという結果が出ています。清掃ロボットは目に見える汚れだけでなく、こういった面にも効果を発揮します。このほか最新型の「Whiz i アイリスエディション」はほぼ同サイズながら吸塵率は最大1.6倍に清掃性能がアップし、最大約3.6時間の長時間運転で1,800㎡を清掃するという特徴があります。
まずは身近な清掃ロボットから導入するなどし、皆様の店舗運営の効率化につながれば幸いです。


▼関連コラム
【コロナ禍以降に大活躍の配膳ロボットの活用方法と成功事例】
https://biz.duskin.jp/biz/b_column/index_94.html
【非接触&生産性向上のカギ:サービス業のロボット活用】
https://biz.duskin.jp/biz/b_column/index_77.html
◆執筆者プロフィール◆
株式会社船井総合研究所 地方創生支援部 外食グループ
伊藤 康貴(いとう・やすたか)
サービス業界の生産性向上をテーマにコンサルティング活動に従事。
特に飲食店や宿泊施設、レジャー施設の現場DXにおいて配膳ロボットを活用した省人化、生産性向上を提唱し、日々研究を進めている。アフターコロナの人手不足を解決する提案をおこなっている。
【株式会社船井総合研究所】
国内最大級の経営コンサルティング会社の「フードビジネス専門サイト」
https://food-business.funaisoken.co.jp/

(公開日 2023年11月20日)

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