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【飲食店店長の働き方改革(後編)】

コラムをご覧の皆様、こんにちは。
株式会社船井総合研究所 地方創生支援部の中山樺奈(なかやま かな)です。

今回は、前編と後編に分けて「飲食店店長の働き方改革」をテーマにお伝えしています。後編は「働き方改革の取り組み」についてです。

前編では、飲食店が「なぜ働き方改革に取り組む必要があるのか」についてお伝えしました。後編では「働き方改革の取り組み」として、具体的な取り組み事例とその進め方についてご紹介します。
【飲食店店長の働き方改革(後編)】
=今回のポイント=
■ 飲食店における具体的な働き方改革の取り組み事例
■ 働き方改革を成功させるためのステップ
■ 働き方改革に関する補助金・助成金情報
=========
■ 飲食店における具体的な働き方改革の取り組み事例
飲食店における働き方改革の取り組みは多岐にわたります。ここでは代表的なテーマを5つご紹介します。これらの取り組みは、会社全体で実施するものだけでなく、飲食店店長が主体となって各店舗で実施できるものも多くあります。

1.労働時間の削減
長時間労働は、飲食店における大きな課題の一つです。労働時間を削減するためには以下のような取り組みが考えられます。
  • • 業務効率化
    • ○ 調理工程の見直し、マニュアル作成
    • ○ 最新調理器具の導入
    • ○ 食材の仕入れ方法の見直し
    • ○ 予約管理システムの導入
    • ○ 清掃方法の見直し
  • • 営業時間の見直し
    • ○ ランチ営業の廃止
    • ○ 短時間営業
    • ○ 定休日を増やす
  • • 人員配置の見直し
    • ○ ピークタイムの集中配置
    • ○ パート・アルバイトの活用
上記の中でも特に、業務効率化は労働時間削減に直結する重要な取り組みです。
例えば、調理工程の見直しでは、調理時間の短縮や無駄な工程の排除を目指します。マニュアルを作成することで誰でも同じ品質の料理を提供できるようになり、教育コストも削減できます。また、最新の調理器具を導入することは、調理時間の短縮だけでなく従業員の負担軽減にもつながります。

2.休暇の取得促進
従業員が十分に休息を取れるように、休暇の取得を促進することも重要です。
  • • 有給休暇の取得推進
    • ○ 有給休暇取得計画の作成
    • ○ 有給休暇取得状況の可視化
    • ○ 有給休暇取得しやすい雰囲気づくり
  • • 慶弔休暇制度の充実
  • • 夏季・冬季休暇の導入
有給休暇の取得は従業員の権利ですが、取得率が低い飲食店も少なくありません。労働基準法が改正された2019年4月以降、年10日以上の有給休暇を与えている従業員に対しては、年5日は有給休暇を取得させることが義務付けられました。会社としても、有給休暇を取得しやすい雰囲気づくりや、取得状況の可視化、計画的な取得の推奨など、さまざまなアプローチで取得率向上を目指しましょう。

3.コミュニケーションの活性化
円滑なコミュニケーションは、チームワークを高め、働きやすい職場環境を作るうえで不可欠です。
  • • 定期的なミーティングの実施
    • ○ チームミーティング
    • ○ 個人面談
  • • コミュニケーションツールの導入
    • ○ 社内SNS
    • ○ ビジネスチャット
  • • 従業員参加型イベントの開催
    • ○ 懇親会
    • ○ 社員旅行
ミーティングは、情報共有や意思疎通を図るうえで重要な機会です。チームミーティングでは目標達成に向けた進捗状況や課題を共有し、個人面談では従業員のキャリアやゴール、悩みを聞き出すことができます。

4.人材育成
従業員の成長は、飲食店の成長にもつながります。
  • • 研修制度の充実
    • ○ 新人研修
    • ○ スキルアップ研修
    • ○ マネジメント研修
  • • 資格取得支援制度
  • • メンター制度の導入
研修制度を充実させることで、従業員のスキルアップを支援し、より質の高いサービスを提供できるようになります。資格取得支援制度を取り入れることは従業員のモチベーション向上にもつながります。

5.働きがいのある環境づくり
給与や福利厚生、キャリアパス、評価制度など、働きがいのある環境づくりも重要です。
  • • 給与制度の見直し
    • ○ 昇給制度の明確化
    • ○ 賞与制度の導入
    • ○ インセンティブ制度の導入
  • • 福利厚生の充実
    • ○ 社会保険完備
    • ○ 食事補助
    • ○ 住宅手当
  • • キャリアパスの提示
    • ○ キャリアアップ制度の導入
    • ○ 独立支援制度の導入
  • • 従業員表彰制度の導入
これらの取り組みは、従業員の定着率向上やモチベーションアップに貢献します。

ここで、業務効率化の項目のうち、清掃方法の見直しについての事例をご紹介します。
皆さんはダスキンの「化粧室・トイレ用モップ」をご存知でしょうか。すでにお使いの方もいらっしゃることと思います。その際は、化粧室用マルチクリーナーとセットで使用することをおすすめします。一緒に使用することで、通常であれば必要な、水バケツの面倒な準備や水洗い、二度拭きが不要となり、「洗わないウエット清掃」は時短になります。また、この化粧室・トイレ用モップは、制菌加工により繊維上の細菌の増殖を抑制する働きがあり、不快なニオイを減少させます。こういった用具の使用は従業員満足度向上にもつながる、ちょっとした工夫です。

このように、少しの取り組みでも働き方改革は進みます。上記に挙げた項目のうち、自店でさっそく取り組めそうなものはどれでしょうか。現場を知っている飲食店店長だからこそ、課題意識を持ちながら実行を進めてみて下さい。
■ 働き方改革を成功させるためのステップ
働き方改革を成功させるためには、以下のステップで進めることが重要です。

ステップ1:現状分析
まずは、自店の現状を把握しましょう。従業員の労働時間や休暇取得状況、業務内容、課題などを分析します。アンケート調査やヒアリングなどを通じて、従業員の意見を収集することも重要です。

ステップ2:目標設定
現状分析の結果を踏まえ、具体的な目標を設定します。例えば、「従業員の平均労働時間を〇時間削減する」「有給休暇取得率を〇%にする」といった目標です。目標は数値目標だけでなく、「従業員満足度を〇%向上させる」といった定性的な目標も設定できます。

ステップ3:計画策定
目標達成のための具体的な計画を策定します。どのような取り組みをいつまでに実施するのか、担当者は誰なのか、などを明確にしましょう。KPI(重要業績評価指標)をどう設定するのか、なども明確にします。計画は、実行可能な範囲で具体的な内容にすることが重要です。

ステップ4:実行
計画に基づいて取り組みを実行します。従業員の意見を聞きながら改善を重ねていきましょう。実行段階では計画通りに進まないこともあります。状況に応じて柔軟に対応することが重要です。

ステップ5:評価・改善
定期的に取り組みの効果を評価し、改善点があれば見直します。KPIの達成状況や従業員の満足度などを指標に、効果測定を行いましょう。改善点が見つかれば次のアクションプランに反映させます。一度やれば終わり、ではありません。PDCAサイクルを回すことで継続的な改善を目指しましょう。
■ 働き方改革に関する補助金・助成金情報
働き方改革を推進するにあたっては、国や地方自治体の補助金・助成金を活用できる場合があります。
  • • 厚生労働省
    • ○ 働き方改革推進支援助成金
    • ○ 時間外労働等改善助成金
  • • 各都道府県・市区町村
    • ○ 独自の働き方改革支援事業
補助金・助成金情報を活用することで、働き方改革の費用負担を軽減することができます。自店が改革に取り組みたい内容が助成金の対象になるか、また、どのような取り組みが補助金や助成金の対象になるのか、まずは調べてみることをおすすめします。

飲食店における働き方改革は、人材不足の解消や従業員のモチベーション向上、企業イメージ向上など、さまざまなメリットをもたらします。
ぜひ、今回の内容を参考に、自店に合った働き方改革に取り組んでみてください。

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◆執筆者プロフィール◆
株式会社船井総合研究所 地方創生支援部 観光フードグループ
中山 樺奈(なかやま・かな)
大学卒業後、新卒で船井総合研究所に入社。入社後はWebシステムを活用した現場の生産性向上コンサルティングに従事。「組織の一体化」をテーマにおこなう社内育成環境の構築や店舗マネジメント研修は全国各地の飲食店で定評がある。
【株式会社船井総合研究所】
国内最大級の経営コンサルティング会社の「フードビジネス専門サイト」
https://food-business.funaisoken.co.jp/

(公開日 2025年3月18日)

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