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【飲食店店長が取り組むべき閑散期対策~既存顧客の再来店強化について~】

コラムをご覧の皆様、こんにちは。
株式会社船井総合研究所 地方創生支援部の大橋隆人(おおはし たかひと)です。

飲食店経営において、閑散期は多くの店舗が直面する課題です。閑散期は売上が下がる中で固定費が重くのしかかり、店舗運営のバランスが崩れがちです。しかし、戦略的な取り組みを行うことで、閑散期を成長のチャンスに変えることができます。今回は、閑散期対策として飲食店店長が取り組むべき具体的な施策を、売上向上策、コスト削減、顧客満足度の向上、そして衛生管理強化の観点からお伝えします。
【飲食店店長が取り組むべき閑散期対策~既存顧客の再来店強化について~】
=今回のポイント=
■ 閑散期の特徴
■ 既存顧客をターゲットにした具体的施策
■ 店舗環境の改善で顧客満足度を向上
■ スタッフ教育と顧客満足度の向上
■ まとめ
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■ 閑散期の特徴
閑散期は繁忙期に比べて新規顧客が獲得しにくいタイミングです。基本的に閑散期は消費意欲の高い繁忙期ごとの間にあたるため、お客様の購買意欲が下がっています。例えば年末年始直後から春のお祝いシーズンまでの期間などです。この時期は新規顧客獲得に向けた販促に力を入れてもなかなか効果が出にくいです。そのため、閑散期については既存顧客向けに販促を行うことが重要です。
一般的に、新規顧客を獲得するためには既存顧客に再来店いただくよりも約5倍のコストがかかるといわれています。しかも、閑散期は特に消費意欲が下がるタイミングであるため、いかに既存顧客に再来店してもらえるかが閑散期の売上づくりの肝になります。また、この時期は店舗の運営体制や顧客サービスの見直しを行う良い機会でもあるため、繁忙期に向けた準備期間として活用すると良いでしょう。
■ 既存顧客をターゲットにした具体的施策

〇リピートを促すキャンペーンの実施
閑散期の既存顧客向けの販促として、大きく分けると3つの方法があります。
①期間限定商品の付加、②再来店向けクーポン発行、③時期・イベントと絡めたキャンペーンの実施 です。

まず、①の期間限定商品の付加についてです。既存顧客の場合、最低でも一度は来店したことのある方が対象となるため、店舗のグランドメニューの内容や価格などが認識されていることが前提となります。そうしたお客様に対して再度来店したいと感じてもらうためには、飽きを感じさせないという意味でも期間限定商品の展開が有効です。その際、旬の食材を盛り込み、ごちそう感の伝わる食材や食べ方などを中心にメニューを展開すると良いでしょう。魅力ある商品を期間限定で提供し、既存顧客の再来店訴求を促しましょう。また、某大手焼肉チェーンでも行われている「北海道フェア」や「韓国フェア」などのように、「○○フェア」として期間限定のイベントをルーチン化してしまうのも有効です。

次に、②の再来店向けクーポン発行についてです。店舗の人気商品などに利用できるクーポンや会計値引きクーポン、居酒屋業態などであればドリンクに利用できるクーポンなど、来店意欲向上につながる内容のクーポンで既存顧客へアプローチします。前述した期間限定商品の告知も兼ねて、期間限定商品をお試しできるクーポンなどでも良いでしょう。クーポンの配布については、繁忙期のタイミングで閑散期に使える再来店クーポンとして、食事をされたお客様に会計の際に手配りで配布するほか、LINEなどのSNSを活用して配信するのも効果的です。いずれにせよ、閑散期はなるべく配布コストのかからない方法でアプローチしていくことがポイントです。

最後に、③の時期・イベントと絡めたキャンペーンの実施についてです。例えば2月であれば、入試、節分、バレンタインデー、大学生の春休み開始など、閑散期にも行事やイベントはいくつかあります。そのイベントと掛け合わせたキャンペーンの実施も、既存顧客向けのアプローチとしては有効です。某焼肉チェーン店では、入試と絡めて普段よりも豪華な肉の「お祝い盛り」を販売したり、バレンタインデーには限定のコースを設定しています。それぞれの店舗に合った施策で閑散期対策を進めていきましょう。

〇利用動機を掛け合わせた顧客アプローチ
既存顧客へのアプローチとして、時期に影響されない利用動機と掛け合わせた訴求を行うこともポイントです。例えば、誕生日や記念日、長寿のお祝いや接待などです。
時期に影響されない利用動機に対して、それに応じた受け皿となる商品があるかどうか、既存顧客向けにそうした商品の準備や告知が適切にできているかなど、見直しを行いましょう。特に誕生日は繁忙期や閑散期の関係なく一年を通して該当しますので、毎月LINE等で特典を付けたクーポンを配信したり、店舗会員へ誕生日クーポン付きのハガキを送付するなど、再来店訴求を行うと良いでしょう。
■ 店舗環境の改善で顧客満足度を向上

〇店内デザインのリフレッシュ
店内の印象はお客様の居心地に直結するため、雰囲気を刷新することを検討するタイミングとしても閑散期は良い機会です。例えば、客席同士の間隔は店舗の客層に合っているのか、店内の照明の明るさは適しているのか、インテリア備品は汚れたり壊れたりしていないか、などの確認です。また、店内ポスターなどで店舗のこだわりやおすすめ商品を訴求することで店舗のブランディングや客単価アップにもつながる機会となるため、そうした店内の装飾も含めて点検を行いましょう。

〇トイレ環境の整備
トイレの清潔さは飲食店全体の印象に直結します。特に閑散期は店舗改善に時間を割けるので、衛生管理の体制を見直すチャンスです。例えば衛生マットの導入です。皆さんの店舗のトイレではマット類を使用しているでしょうか。
ダスキンが提供する衛生マット(トイレ用 抗菌・防臭タイプ)は、便器の下に衛生マットを敷くことで、においの元となる雑菌の繁殖を抑制します。パイル全面にコーティングした抗菌吸着剤が汚れを舞い上がらせることなく保持し、抗菌効果を発揮するのです。レンタル商品では回収ごとに洗浄しますが、その都度、抗菌吸着剤を全面コーティングするため同じ効果が持続します。トイレ内に消臭スプレーを散布するだけでは解決しない、におい問題の原因はここにあります。トイレを常に清潔な状態に保つことは来店客にも安心感を与えます。閑散期には、こういった備品の見直しも行いましょう。
■ スタッフ教育と顧客満足度の向上

〇接客スキルの向上
閑散期はスタッフ研修を行う絶好のタイミングです。特に、繁忙期は店舗が忙しくなかなかスタッフに教育しきれない部分もあるかと思いますので、閑散期は繫忙期に向けたスタッフのスキルアップの実施も検討しましょう。キッチンであれば、作業効率面や商品の味・盛り付けの均一化、ホールであれば接客時の商品おすすめトークや所作、ふるまいが適切かどうかなど、普段なかなか目の行き届いていない部分を中心に点検を行いましょう。

〇モチベーションの維持
閑散期は売上の減少によりスタッフのモチベーションが低下しやすいため、モチベーションを維持する取り組みが大切です。定期面談としてスタッフとの時間を作り、ポジティブなフィードバックや、働く上での目標立てを一緒に行い、業務に対して前向きに取り組めるようフォローを行いましょう。また、インセンティブ制度を導入し、最も高評価な口コミを得たスタッフにインセンティブを渡すことなどもモチベーション維持には効果的です。
■ まとめ
閑散期は新しい施策を試す絶好のタイミングです。既存顧客にフォーカスし、リピートを促すキャンペーンや個別対応、SNSを活用した情報発信を実施しましょう。また、店舗環境の改善やスタッフ教育にも力を入れることで、長期的な顧客満足度向上を目指しましょう。これらの取り組みを実践し、閑散期を乗り越えるだけでなく、繁忙期への準備も同時に進めて行きましょう。

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◆執筆者プロフィール◆
株式会社船井総合研究所 地方創生支援部 観光フードグループ
大橋 隆人(おおはし・たかひと)
大学卒業後、船井総合研究所に新卒入社。飲食企業を実家に持つ。
事例主義を掲げ、居酒屋店、焼肉店、総合和食店など、さまざまな業態の飲食店のコンサルティングに携わる。直近では、観光立地での飲食店業態開発にも力を入れており、現場に寄り添うサポートをおこなっている。
【株式会社船井総合研究所】
国内最大級の経営コンサルティング会社の「フードビジネス専門サイト」
https://food-business.funaisoken.co.jp/

(公開日 2025年1月16日)

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