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【スタッフの即戦力で効率的なオペレーションを実現する方法】

コラムをご覧の皆様、こんにちは。
株式会社船井総合研究所 地方創生支援部の光永春華(みつながはるか)です。
今回は、スタッフの即戦力で効率的なオペレーションを実現する方法についてお伝えします。
【スタッフの即戦力で効率的なオペレーションを実現する方法】
=今回のポイント=
■ ヒトに困る店舗多発!採用が難しい今、店長が考えるべきこと
■ ECRS(イクルス)で振り返る、自店舗のオペレーション課題
■ キッチン・フロアのオペレーションを整理
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■ ヒトに困る店舗多発!採用が難しい今、店長が考えるべきこと

飲食業界ではいま、多くの店舗が人手不足に悩まされています。
人手不足になると、「オーダーから30分経っても料理が届かない」「店内が汚い」「スタッフの接客態度が悪い」など、サービスを提供する際のクオリティ低下に繋がり、SNSや口コミサイトなどに書き込まれてしまう可能性が高いです。
また人手不足は、対お客様だけでなく自店舗のスタッフにも影響を及ぼします。実際に人手不足になると、既存スタッフの長時間労働を引き起こし、業務負担が増加します。実際、私たちのお客様の中にも、施策をする際に「○○をしたいけれど実行する時間がない!」など、歯痒い思いをされている方も多く見受けられます。
そのような状況を打破するために、まずは〈効率的なオペレーション〉を仕組化することが大切です。
■ ECRS(イクルス)で振り返る、自店舗のオペレーション課題

〈効率的なオペレーション〉を仕組化するといっても具体的に何から手をつけたらよいか分からない、という方が大半かと思います。そのような時におすすめなのが「ECRS(イクルス)」というフレームワークです。
「ECRS」とは「Eliminate」「Combine」「Rearrange」「Simplify」の4つの頭文字を取った言葉です。Eから順番に業務を見直すことで効率化できるといわれています。実際に項目に沿ってご説明いたします。

E:排除する(Eliminate)
まず、最初に考えるべきことが、現状のオペレーションの中で「無駄な作業がないか?」ということです。ここでいう無駄な作業とは「売上に影響を与えない仕事」「自社にとってあまりプラスにならない仕事」です。
前任者から引き継いだものの、よく考えると何のためにしているのか必要性が感じられない作業などは、思い切ってなくしてしまうことをお勧めします。
また、今ある作業を見直し排除することも大切ですが、商品開発の段階から排除するオペレーションを意識することも業務の効率化を図る一つの手です。
例えば、とあるパン屋さんでフルーツデニッシュパンを開発した際には、カットしたフルーツを乗せるのではなく、オペレーションを考慮してスモモを丸ごと一個デニッシュパンに乗せるというご提案をしました。丸ごと乗せることにより、カットする・バランス良く盛り付けるといった手間がなくなります。結果、商品のボリューム感も増し、視覚的にも惹きつけられる一品が完成しました。このように、商品開発の段階からオペレーションベースで、できるだけ簡単に早く行うことができる工程を考えることも視野に入れていただきたいと思います。

C:統合と分離(Combine)
排除した後に考えるべきことが「統合と分離」です。別々におこなっていることを一度にできないか、といった視点が重要です。例として、お皿の洗浄を見てみましょう。洗浄工程としては主に「軽く洗浄→食洗器で洗浄→食洗器からお皿の取り出し→乾燥→拭き上げ」の5工程に分かれるかと思いますが、この中で統合できる作業はないでしょうか?
例えば、食器洗浄機用洗剤を速乾性のあるものに変えるのも一つです。食洗機洗剤に関しては、たっぷりの泡で洗えばよいというものではなく、例えばアルカリ剤でしっかり洗うなど、品質も重要な要素です。また、低濃度であってもしっかり洗えるタイプなども出ているので、これらの見直しをしてみるのも良いでしょう。長い目で見ればコスト削減にも繋がります。
乾燥に関しては、乾かす際に送風機を当てるなどの工夫をすることで、食器をより早く乾かし、拭き上げにかかる時間を短縮することができます。拭き上げに関しては、水滴や乾いていないものがないか、といったチェックをするだけのレベルになるため、乾燥と拭き上げは統合できます。しかしこの場合、送風機を置くスぺースが必要になります。より効率を上げるには、すすぎ剤(リンス剤)の使用をおすすめします。すすぎ用の熱湯に少量を混ぜることで食器類の水切れ・乾燥を早める効果があり、同時に水垢の発生を抑制します。食器はすすぎの熱湯の熱で乾くため、拭き取り作業も不要になります。 業務自体をなくすことができなくても、業務の流れを考えて環境や設備を整えることで必要な労力やコストを上手に減らすことができます。

R:入れ替え(Rearrange)
次に考えるべきこととしては「入れ替えができないか」ということです。ここでは、できるだけ手戻りや無駄な時間が発生しないように、作業の入れ替えができるかどうかを検討します。
例えば、パスタを作る際に、①ソースと具材を温める②お湯を沸かしてパスタを茹でる③①と②を混ぜ合わせるといった流れよりも、まずはお湯を沸かしてそこから①②③の作業をする方が効率よく調理を行うことができます。
このように、作業順序を入れ替えることで効率がよくなり、無駄な時間が削減できる業務はないでしょうか。いま一度、見直してみましょう。

S:簡素化(Simplify)
排除し、統合し、入れ替えをした後、最後に考えるべきこととしては「簡素化」です。
簡素化に関しては、新しいツールやシステムの導入を検討すると、比較的簡素化しやすいです。新しいツールやシステムの導入には、「タッチパネルやお客様のスマートフォンを使った注文システムの導入」や「お掃除ロボットの導入」「自動精算機の導入」「券売機の導入」などがあります。それぞれ既存のオペレーションから代替ツールを使うことで簡素化ができます。
システムの導入と聞くと費用が気になるところかと思いますが、手頃に導入できるものもあります。例えばLINEを使った注文システムを導入したところ、ある居酒屋では、通常6名体制だったスタッフの配置数が4~5名になるなど、人件費とともに労働負担も軽減できた事例があります。
ツールやシステムの導入は費用がかかり、ハードルが高いと感じる方も多いですが、一度、費用対効果を検証してみることをお勧めしたいです。人手不足を解消できるかもしれません。
■ キッチン・フロアのオペレーションを整理

さて、これまで、ECRS(イクルス)での業務効率化の手順をご紹介してきました。
飲食店のオペレーションは主にキッチンとフロアに分かれるため、ここからはそれぞれの具体的な施策をお伝えします。
まずは「キッチンオペレーション」を改善する施策についてです。キッチンオペレーションの改善ポイントは「クオリティを維持しつつ、提供するまでの時間をいかに短縮できるか」です。具体的には先ほどパスタの例をあげましたが、作業する順番を見直し、より早く提供できるよう工夫することです。
また、キッチン内の作業動線も加味し、食材の置き場所や洗剤等の備品置き場、機械の配置場所などを改善するとよいでしょう。食洗機洗剤であれば省スペースで置ける濃縮タイプなども便利です。このほか、データを基に判断することも大切です。例えば、売上データを詳しく見てみることで仕込みの量を調節できます。また、調理に手間がかかるわりには出数が少ないメニューに関しては削除するなどの判断も必要です。データに注目してみるとキッチンオペレーションの改善につながります。

続いて「フロアオペレーション」です。フロアオペレーションを改善するためのポイントは、お客様の満足度を担保しつつ、効率的な動きをスタッフ全員で協力しながら行うことです。これまでも当コラムで何度かお伝えしてきましたが、フロアオペレーションに関しては個人差が生じるため、マニュアルを作ることが大切です。
マニュアルでは例えば、フロアスタッフの配置や巡回導線をマニュアル化すること、フロアリーダーの役割を明確にすることでオペレーション改善ができます。また、マニュアル化することで新人スタッフにレクチャーする時間も大幅に短縮できます。マニュアルは用意したいツールの一つです。

今回は、スタッフの即戦力で効率的なオペレーションを実現する方法をお伝えしました。ECRS(イクルス)に基づいて、キッチン・フロアのオペレーションを、いま一度見直してみましょう。効率的なオペレーションを身につけ、万全の体制で繫忙期に備えていただきたいと思います。

▼関連コラム
【新人スタッフ即戦力化のための動画マニュアルとは?】
https://biz.duskin.jp/biz/b_column/index_95.html
【オペレーション効率を劇的に高める「業務改善」】
https://biz.duskin.jp/biz/b_column/index_31.html
◆執筆者プロフィール◆
株式会社船井総合研究所 地方創生支援部 外食グループ
光永 春華(みつなが・はるか)
大学卒業後、船井総合研究所に入社。入社後は、Instagram・Twitter(現X)・TikTok・LINEなど、あらゆる媒体を駆使した、外食企業におけるプロモーションを得意とする。また、Web集客に強い商品の提案もおこなう。SNSに強い商品とSNSを活用した販促の両輪のご提案でお客様の業績向上を目指している。
【株式会社船井総合研究所】
国内最大級の経営コンサルティング会社の「フードビジネス専門サイト」
https://food-business.funaisoken.co.jp/

(公開日 2023年11月13日)

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