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【繁忙期までにやっておきたいQSCの完備】

コラムをご覧の皆様、こんにちは。
株式会社船井総合研究所 地方創生支援部の片山大暉(かたやまだいき)です。
今年もあとわずかで終わりという季節になってきました。
今月のコラムでは、「繁忙期までにやっておきたいQSCの完備」をテーマに、冬の繁忙期までに店舗で実施していただきたいQSCの具体的な内容についてお伝えします。
【繁忙期までにやっておきたいQSCの完備】
=今回のポイント=
■ Q(クオリティー):ホール・キッチンのオペレーション確認
■ S(サービス):各種グルメサイトやGoogleビジネスプロフィール、SNSの整備
■ C(クレンリネス):清掃にかける時間の短縮方法
=========
■ Q(クオリティー):商品や接客のクオリティーアップのためのホール・キッチンのオペレーション確認

まず、クオリティーに関しては、大きくは2つあります。
1つ目は商品や接客のクオリティーアップのためのアルバイト育成です。
繁忙期になると居酒屋等を中心に宴会需要が高まり、普段のオペレーションでは実施していないことや予測できないことが発生し、対応できない可能性があります。
そこで、大人数で予約されるお客様の電話対応やオーダーテイクのタイミング、配膳の方法などを、店長や社員、ベテランアルバイトらの過去の経験での学びを、事前に新人アルバイトに伝えるなどの対策が必要となります。この取り組みはアルバイトの離職防止にも繋がります。

2つ目はクレーム対策のマニュアル作成です。
繁忙期はいつもより忙しくなるため、「注文した商品はまだか」や「スタッフを呼んでも来ない」などのクレームが発生しがちです。そこで、先ほどの新人アルバイトへの育成と同じように、店長や社員、ベテランアルバイトの過去の経験から想定されるクレームを書き出し、それらのクレームや事象がもしも発生した場合はどのような対応をすればよいのかを記載し、アルバイト全員に共有します。そうすることでアルバイトは安心して働くことができます。店長や社員はクレームに対応する時間が減り、本来の業務に集中することで売上アップにも繋がります。

上記の2つ目に関しては一朝一夕に完備できるものではないので、繁忙期前の段階からしっかりと準備しておくことが大切です。
■ S(サービス):各種グルメサイトやGoogleビジネスプロフィール、SNSの整備

次にサービスについてです。ここでは各種グルメサイトやGoogle ビジネスプロフィール、SNSなど自店舗の情報掲載の整備に関してお伝えします。
現在、インターネットには飲食店の情報が溢れ、お客様に来店してもらうためには数ある飲食店から自店舗を選んでもらう必要があります。
これまでも当コラムで何度かお伝えしているとおり、お客様から自店を選んでもらうためには、各種グルメサイトやGoogle、インスタなどに掲載している営業時間や提供しているグランドメニューの内容、フェアメニューの有無などが最新版になっているかを確認し、必要であればアップデートする必要があります。アップデートする際のポイントとして、メニューなどの掲載情報の整備に加えて、店舗説明文に「宴会のご予約承ります!」など季節に合った文言を入れるなどするとより良いでしょう。小売店であれば周年時のイベント告知や新商品の入荷案内、その商品残数を知らせるなども効果的です。各種SNSはこまめに更新し、店舗の活気ある様子を発信していきましょう。
福岡県のある飲食店では、グルメサイトやGoogle ビジネスプロフィールの内容を整備し、最新の情報掲載をこまめにした結果、閲覧数が前月の1.8倍に増え、予約数はなんと4倍にまで増えた事例があります。インターネットに掲載する情報に関してお客様に与えるインパクトは大きく、誰もがネットで情報収集する時代だからこそ、しっかりとしたアップデートの取り組みが必要です。
■ C(クレンリネス):清掃にかける時間の短縮方法

最後にクレンリネスについてです。今回は清掃にかける時間の短縮方法についてお伝えします。繁忙期になると、営業開始前は仕込みに追われ、営業開始直後から多くのお客様が来店されるため、清掃にあまり時間をかけられない日が多くなることと思います。そのため、下記のような主な清掃箇所とその清掃時間短縮方法の活用をお勧めします。

▼主な清掃箇所と清掃時間短縮方法
①トイレ清掃
トイレ掃除で特に重点的に清掃する必要があるのが便器です。
営業中はお客様が多く利用されるため、最低1日2回「営業前」と「営業後」に実施しましょう。清掃時刻のチェック表はスタッフ全員が確認できる場所に掲示します。便器を掃除する時のポイントは、クリーナーやブラシを使用してしっかりと洗うことです。洗剤をしっかりと使い、汚れを落とす、そして汚れをこびりつかせないようにしましょう。ブラシ自体を衛生的に保つこともポイントです。ブラシがくたびれていないか、これらも常に確認しましょう。

②カウンター・テーブル
カウンターやテーブルはバッシングを含め清掃する頻度が高いため、いかに効率的に実施するかがポイントになります。お付き合い先でカウンター・テーブル清掃が効率的になった事例として、下記の3パターンがあります。
・空いた食器の回収頻度をアップ
→バッシングの際に回収する容器が減り、時間短縮に繋がった。
・バッシングセットの準備
→テーブルに置く調味料等を一つのお盆にまとめる方法に変更した。このセットをいくつか作っておき、バッシングの際はお盆ごと交換するよう効率化した。
・カウンター・テーブルに置くものを最低限に
→卓上に置くのはタブレットやメニュー表など最低限のものに変更し、バッシングの際は食器の回収と拭く作業のみに限定し効率化した。

③厨房
厨房は床やグリストラップ(油脂分離阻集器)が特に汚れが溜まる箇所ではないでしょうか。
床やグリストラップに関しては、トイレ掃除と同じように毎日清掃し、汚れを溜めないことが重要です。特にグリストラップについては自店舗で実施するのが難しく、時間もかかるため、専門の業者を呼んで清掃してもらうのも方法の一つです。また、日頃から汚れを溜めないように専用の液体クリーナーを活用するのも有効です。時期を見て害虫駆除のサービスを検討するのもいいでしょう。
厨房の出入口や床に関しても、毎日清掃するのが難しい場合は高機能マット等をレンタルし、汚れの予防をすることも大切です。レンタルであれば2週間と比較的短いスパンで交換できるプランもあり、衛生的な状態が保てます。

④フロア清掃
入り口付近と厨房から客席に向かう通路が、特に汚れが溜まる箇所ではないでしょうか。上記の2箇所ともに営業前・営業後にほうきとちりとりでゴミを集め、モップを掛けている店舗も多いことでしょう。繁忙期を含め、毎日清掃することが難しい場合は、③の厨房と同じように高機能マットを使用するなど、そもそも通路を汚さないようにすることも大切です。

最近の高機能マットは吸水・吸塵機能に加え、抗菌・抗ウイルスにも対応した高機能なものも出てきています。大きさによって使用箇所や用途を考えて導入すれば清掃時間も短縮できます。このほか、普段はあまり目が行き届かない箇所もリスト化して確認しましょう。例えば雨の日のみ店頭に出す傘立てなどです。受け皿にゴミが溜まっていたり、忘れ物の汚れたビニール傘がいくつも入っていたりしませんか?飾り棚の上の方はどうでしょう。照明器具やコードリールのほこりは確認済みでしょうか。いま一度、お客様の視点で店舗を客観的に見てみることも必要です。

今回お伝えした「繁忙期までにやっておきたいQSCの完備」は繁忙期に限らず、普段から取り組んでいくことで自然と店舗自体の質がアップしていきます。ぜひ、まずは取り組める範囲から取り組んでみてください。

▼関連コラム
【QSC向上に向けた3つのポイント】
https://biz.duskin.jp/biz/b_column/index_34.html
【アフターコロナでの売上アップのポイントは「QSCの向上」】
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◆執筆者プロフィール◆
株式会社船井総合研究所 地方創生支援部 外食グループ
片山 大暉(かたやま・だいき)
大学卒業後、新卒で船井総合研究所に入社。
入社後は、主に外食企業のSNS・グルメサイト活用などのWeb販促や現場の生産性向上コンサルティングに従事。「人が辞めない飲食店」をテーマとし、店長会議や電子日報など、Googleデータポータルを活用した現場目線での生産性向上×Web販促のコンサルティングを得意としている。
【株式会社船井総合研究所】
国内最大級の経営コンサルティング会社の「フードビジネス専門サイト」
https://funai-food-business.com/

(公開日 2023年10月16日)

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