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人手不足に対応した新業態の作り方

全国の飲食店店長の皆様。こんにちは。船井総合研究所の高橋です。
外食企業は今まさに、戦い方を変えなければ生き残りが厳しい時代に差し掛かっています。
その一番の要因は、日本の高齢化・生産年齢人口の減少に伴い、外食企業の有効求人倍率が3倍を超える超人手不足の時代に突入したことです。
超人手不足にIT活用!AIで生産性向上
人手不足の時代において、事業を成長させ続けるために考えていかなければならないポイントは、大きく3つです。
①雇用の範囲を広げる(高齢者の活用など)
②一人あたりの生産性を上げる
③従業員の定着率を上げる
人手不足の時代においては、これら3つのポイントを実現できる対策と業態づくりをしていくことが最重要課題となります。
このような時代において、近年メディアなどで注目される飲食店があります。三重県伊勢市にある「ゑびや大食堂」です。
同店は、かつては手切りの食券でオーダーをとる、昔ながらの大衆食堂でした。2012年からIT導入を積極的に進め、2016年からAIを活用した来客予測を導入したことで生産性を劇的に向上させました。
過去2年分の「気象」「来客」「注文」のデータから1時間ごとの来客数やメニューを予測することで、食材の使用量の管理や業務オペレーションのマネジメント効率を上げることに成功したのです。その結果、売上は6年間で4倍、営業利益は12倍に伸びました。
また、この仕組みにより食材廃棄ロスの7割削減に成功しました。原価を大幅に下げたことで、食材を値切ることなく買い付けできるようになり、メニューの質・単価も向上させています。その一方で従業員の労働時間を削減し、年間休日120日を確保、従業員の給与増額を実現しました。
このように、これからの人手不足に対応した新業態づくりにおいて、最も重要なポイントとなるのが「IT活用」です。
ITを上手に活用するコツを2つ挙げます。
①お客様のデータを可視化する
人手不足の時代においては、少ない人数で売上を上げる必要があるため、客単価の向上は必須事項です。
お客様のデータを属性ごとなどに細かく収集して分析することで、お客様が本当に欲しているサービスを知ることができます。この情報により、“勘”に頼らない商品づくりができ、顧客満足度を下げずに値上げすることが可能となります。
②ヒトでなくてもいい仕事をなくしていく
少ない人数で売上を上げるために、客単価向上と同じくらい重要なのが「省人化」です。省人化と聞くとマイナスイメージを持たれる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし省人化の本質は、人でなくてもいい仕事は極力なくし、人にしかできない仕事に注力することで顧客満足度を上げることです。
実際、さまざまなIT技術の発展によって、例えば予約管理台帳の電子化のように、これまでは人が工数をかけておこなっていた作業が、短時間でできるように変化しています。
IT活用と聞くとコストがとてもかかるように感じますが、ゑびや大食堂では、既存の低価格のITサービスをうまく自社に合う形で選定・カスタマイズしていったことにより、膨大なコストをかけずに生産性向上を実現させました。
これからの超人手不足の時代に備えて、ITを活用した新業態づくりへのチャレンジをおすすめします。
株式会社船井総合研究所
国内最大級の経営コンサルティング会社の「フードビジネス専門サイト」
https://funai-food-business.com/

(公開日 2019年8月9日)

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