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夏場にかけて増える食中毒対策の基本
全国の飲食店店長の皆様。こんにちは。船井総合研究所の高橋です。
5月に入り、徐々に気温が高くなってくる季節ですので、今回は夏場に向けて絶対に知らなければいけない飲食店の食中毒対策の基本についてお伝えいたします。
飲食店の食中毒事故をニュース等で見たことがある方も多いと思いますが、食中毒は「人の命」にかかわる重大事故です。絶対に食中毒を出さないための準備、心構えをしっかりと学んでいく必要があります。そのために必要なのは、まずは下記の『絶対に守るべき⑪の約束』を正しく理解することです。
絶対に守るべき⑪の約束
① 頻繁に手を洗うことが大切。出勤時、作業が変わった時、顔・髪の毛を触った時、休憩から戻った時、清掃の後、ゴミ交換の後。衛生管理は手洗いに始まり手洗いに終わる。手指は30秒以上もみ洗い。
② 体調が悪い時は必ず報告。(身だしなみチェックリストに記入)
③ スタッフ(従業員)の身だしなみチェックの実施。(記録に残す)
④ 食材の「先入れ」「先だし」の徹底。
⑤ 食材は出しっぱなしにしない。
⑥ ダスターは頻繁に洗う。
⑦ ダスターは作業により使い分ける。
⑧ まな板は、生もの、野菜、肉で使い分ける。
⑨ 食材を床に直置きしない。
⑩ 床に落ちたものは使わない。
⑪ 食材は消費期限一覧に従って、消費期限シールに仕込日、廃棄日、仕込担当者名を記入する。
② 体調が悪い時は必ず報告。(身だしなみチェックリストに記入)
③ スタッフ(従業員)の身だしなみチェックの実施。(記録に残す)
④ 食材の「先入れ」「先だし」の徹底。
⑤ 食材は出しっぱなしにしない。
⑥ ダスターは頻繁に洗う。
⑦ ダスターは作業により使い分ける。
⑧ まな板は、生もの、野菜、肉で使い分ける。
⑨ 食材を床に直置きしない。
⑩ 床に落ちたものは使わない。
⑪ 食材は消費期限一覧に従って、消費期限シールに仕込日、廃棄日、仕込担当者名を記入する。
いかがでしょうか。まずは皆様の店舗で、この『絶対に守るべき⑪の約束』を守れているかの再確認をしてみてください。
最低限これだけは知っておこう“菌”のこと
その次に重要なのが、飲食店で発生する可能性の高い“菌”について知ることです。以下に最低限知っておくべき“菌”の種類・特徴・予防のポイントを記載しますので、知らない“菌”があれば要チェックです。
食中毒菌 | 主な原因食材 | 菌の特徴 | 予防のポイント | 死亡事故事例 |
---|---|---|---|---|
腸炎ビブリオ | 魚介類(特に生魚) | ・夏から秋に多発 ・塩分を好む |
・魚介類は真水で洗う ・5℃以下で管理する ・75℃1分以上の加熱調理 |
1950年、大阪府で白子干し(シラス干し)から発生した腸炎ビブリオにより272名の患者、20名が死亡 |
サルモネラ | 鶏卵・食肉(特に鶏肉) | ・少量菌数で食中毒 ・熱に強い |
・食肉の生食を避ける ・割れた卵は使わない ・75℃1分以上の加熱調理 |
2006年、大阪府東大阪市保健所は同市内の小学4年の女児がサルモネラ菌の食中毒による脳症で死亡と発表 |
病原性大腸菌 | あらゆる食品 | ・熱、消毒剤に強い ・少量菌数で食中毒 |
・75℃1分以上の加熱調理 ・十分な手洗い |
2012年、病原性大腸菌により札幌市の高齢者施設において下痢・血便の症状を示す入居者が相次ぐ。最終的に169人が発症、8人が死亡 |
カンピロバクター | 食肉(特に鶏肉) | ・少量菌数で食中毒 ・あらゆる動物に分布 |
・生食と調理した肉類は別々に保存 ・75℃1分以上の加熱調理 |
2015年、北海道の焼肉バイキングで14人がカンピロバクター食中毒、女子中学生が死亡 |
ウェルシュ菌 | カレー・シチュー等 | ・大量調理食品中(酸素が少ない状態)で発生 | ・十分な加熱調理 ・加熱後は短時間冷却 |
昭和55年7月9日、埼玉県久喜市内の小・中学校で「冷やしうどん」により摂食者4,333名中3,610名(発病率83.3%)という極めて大規模な食中毒が発生 |
黄色ブドウ球菌 | おにぎり・サンドイッチ等 | ・手指の傷などから | ・手指に傷がある場合は調理禁止 ・手洗い、消毒の徹底 |
2006年、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)のうち、強毒性の菌に感染した1歳男児が重症肺炎を起こして死亡 |
ノロウイルス | 汚染食材・二枚貝等 | ・少量で感染力大 ・ヒトの腸内のみで繁殖 |
・手洗い、消毒の徹底 ・85℃1分以上の加熱調理 |
2015年、外食事業をおこなう企業に関連する高齢者施設で、ノロウイルスによる集団食中毒が発生、うち1人が死亡 |
- 食中毒菌
- 腸炎ビブリオ
- 主な原因食材
- 魚介類(特に生魚)
- 菌の特徴
- ・夏から秋に多発
・塩分を好む
- 予防のポイント
- ・魚介類は真水で洗う
・5℃以下で管理する
・75℃1分以上の加熱調理
- 死亡事故事例
- 1950年、大阪府で白子干し(シラス干し)から発生した腸炎ビブリオにより272名の患者、20名が死亡
- 食中毒菌
- サルモネラ
- 主な原因食材
- 鶏卵・食肉(特に鶏肉)
- 菌の特徴
- ・少量菌数で食中毒
・熱に強い
- 予防のポイント
- ・食肉の生食を避ける
・割れた卵は使わない
・75℃1分以上の加熱調理
- 死亡事故事例
- 2006年、大阪府東大阪市保健所は同市内の小学4年の女児がサルモネラ菌の食中毒による脳症で死亡と発表
- 食中毒菌
- 病原性大腸菌
- 主な原因食材
- あらゆる食品
- 菌の特徴
- ・熱、消毒剤に強い
・少量菌数で食中毒
- 予防のポイント
- ・75℃1分以上の加熱調理
・十分な手洗い
- 死亡事故事例
- 2012年、病原性大腸菌により札幌市の高齢者施設において下痢・血便の症状を示す入居者が相次ぐ。最終的に169人が発症、8人が死亡
- 食中毒菌
- カンピロバクター
- 主な原因食材
- 食肉(特に鶏肉)
- 菌の特徴
- ・少量菌数で食中毒
・あらゆる動物に分布
- 予防のポイント
- ・生食と調理した肉類は別々に保存
・75℃1分以上の加熱調理
- 死亡事故事例
- 2015年、北海道の焼肉バイキングで14人がカンピロバクター食中毒、女子中学生が死亡
- 食中毒菌
- ウェルシュ菌
- 主な原因食材
- カレー・シチュー等
- 菌の特徴
- ・大量調理食品中(酸素が少ない状態)で発生
- 予防のポイント
- ・十分な加熱調理
・加熱後は短時間冷却
- 死亡事故事例
- 昭和55年7月9日、埼玉県久喜市内の小・中学校で「冷やしうどん」により摂食者4,333名中3,610名(発病率83.3%)という極めて大規模な食中毒が発生
- 食中毒菌
- 黄色ブドウ球菌
- 主な原因食材
- おにぎり・サンドイッチ等
- 菌の特徴
- ・手指の傷などから
- 予防のポイント
- ・手指に傷がある場合は調理禁止
・手洗い、消毒の徹底
- 死亡事故事例
- 2006年、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)のうち、強毒性の菌に感染した1歳男児が重症肺炎を起こして死亡
- 食中毒菌
- ノロウイルス
- 主な原因食材
- 汚染食材・二枚貝等
- 菌の特徴
- ・少量で感染力大
・ヒトの腸内のみで繁殖
- 予防のポイント
- ・手洗い、消毒の徹底
・85℃1分以上の加熱調理
- 死亡事故事例
- 2015年、外食事業をおこなう企業に関連する高齢者施設で、ノロウイルスによる集団食中毒が発生、うち1人が死亡
(表:船井総合研究所 フード支援部まとめ)
このように食中毒は、重大な死亡事故に発展する可能性があります。
飲食店における食中毒対策は、人の命を守る大切な取り組みです。この機会に、ぜひ意識していただきたいと思います。
飲食店における食中毒対策は、人の命を守る大切な取り組みです。この機会に、ぜひ意識していただきたいと思います。
株式会社 船井総合研究所
国内最大級の経営コンサルティング会社の「フードビジネス専門サイト」
https://food-business.funaisoken.co.jp/
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(公開日 2019年6月17日)