ビジネスコラム今すぐ役立つ! 目からウロコの情報を掲載!

中小企業の経営戦略を担う「船井総研」のコンサルタントが、さまざまな業種・業態の方向けに書き下ろしたコラムを掲載!

0202

5Sってよく聞くけど、本当に効果が上がるのか?

「5Sってよく聞くけど、本当に効果が上がるの?」この疑問は、私が飲食店の店長時代に思っていたことです。「掃除をして、身も心も綺麗に!」みたいな雰囲気で使う言葉だと思っていました(笑)
でも5Sって掃除をする事だけではないんですね。今回はその秘密をみなさまにお伝えしましょう。
5S:整理、整頓、清掃、清潔、しつけ。「えっ!?7Sもあるの?」
『整理・整頓・清掃・清潔・しつけ』のローマ字読みにした際の頭文字Sをとって5Sと言います。ですので、日本で生まれた概念です。
5Sと言っても、やるのは『整理・整頓・清掃』の3つだけ。
『清潔』は、3Sが維持されている状態のことを言い、『しつけ』は、それが習慣化されている状態の事を言います。

しつけまでできていることで得られる大きなメリットは、圧倒的な「時間」です。
無駄な時間や作業が、できていないお店に比べて少なく、生産性が高くなるということです。休みやお給料にも差が出るのではないでしょうか。

整理整頓は、実は『整理』と『整頓』に分かれます。そしてこれが5Sを取り組む上での肝になります。
『整理』とは、必要なものと不要なものを分けて、不要なものを捨てること。
『整頓』とは、必要なものを必要なときに必要な分だけ取り出せる状態にしておくこと。
つまり、不必要なものを全て捨てて、残った必要なものの『定位置と定量』を決めると言うことです。

飲食店において、もっとも無駄なことは『探す時間』です。
計量カップ、ラップ、キッチンペーパー、たわし、栓抜き、予約帳・・・などなど、営業に必要なものは全て定位置が決まっていますか?

人が探し物をする時間は、一日平均15~20分と言われています。1年間にすると約120時間も!
5日間も物を探しっぱなしなわけですね。これがさらに従業員の数だけあると考えると、いかに無駄な時間が多いことか。更に新人さんとなると探す時間はもっと増えます。
そんな無駄な時間を省いて、交代で5連休ずつ取りたいくらいですね。
整理整頓の意味を理解して実行することで、この『探す』時間が大幅に短縮することが可能となります。できているかどうかの基準は、「計量カップはどこにありますか?」など誰に聞いても同じ内容を一言で伝えられるかどうかです。一度シミュレーションしてみてください。

さらに、不要な『もの』をなくすことも大事ですが、不要な『作業』をなくすことも大事です。毎日当たり前のように同じことをしていると、無駄な作業に気づかないことがあります。

よくあるのが『効果のない洗浄・殺菌作業』です。
飲食店の厨房でよく見かける例としては

・まな板に直接漂白剤の原液をかけて、たわしでゴシゴシ。

・使用済みのダスターを、漂白剤が入ったバケツの中にバンバン放り込む。

・水で濡れた状態の作業台に、アルコールスプレー噴射で消毒したつもり。などなど


これは知識不足からくる無駄な作業です。「先輩方がそうしていたから」と、文化的に続いている無意味作業が実はよくあります。

アルコール消毒や次亜塩素酸での殺菌効果は、使い方を間違えると効果がなくなります。

・まな板にはかならず希釈した漂白剤を使用します。

→次亜塩素酸ナトリウムは濃度が高ければ殺菌効果が高くなるわけではありません。
200ppmに希釈することで従来の効果が得られます。


・ダスターの漂白剤による殺菌は、一度洗浄した上で行うことが必要です。

→次亜塩素酸ナトリウムは有機物の影響も受けやすいため、汚れたダスターの中に入れると、殺菌効果が得られない場合があります。


・作業台は、水分をしっかり拭き取った上で、アルコール消毒を行います。

→水によりアルコール濃度が薄まると、本来の殺菌効果が低下する場合があります。


食品事故防止のため、食の安全について、見た目の衛生から微生物学的な清潔を確立するために、5Sより更に高い食品衛生レベルの実現を目的とした7Sという考え方があります。ダスキンではこちらの考え方を推奨しています。
これは「整理・整頓・清掃・洗浄・殺菌・しつけ・清潔」の頭文字をとったものです。
洗浄と殺菌の項目が増えているのがわかりますね。

清掃⇒洗浄⇒殺菌の順番に並んでいることが重要なポイントです。殺菌効果を最大限に発揮するためには、洗浄が必要です。更に洗浄効果を発揮するためには清掃が必要です。飲食店ならではの「殺菌」という作業を無駄にしないためにも、作業の意味を理解していくことが大事です。

今行っている仕事を一つ一つ、「これは本当に必要な仕事であるのか?」「意味のある仕事なのか?」という視点で見直すことが重要です。

そして『清掃』とは、単なる掃除ではなく、「維持・点検を行い、異常が発生した時にすぐに発見できるようにしておくこと」という意味もあります。
定位置に物がなくなっていたり、間違った作業をしているスタッフがいたりした場合に、すぐに改善ができるように、常に維持・点検しておくことが大事です。

この3Sの状態を維持し、『清潔』な状態を実現する。
そしてこの『清潔』な状態が習慣化し、スタッフ全員にとって当たり前の状態になったとき、『しつけ』が備わり、5Sの活動が成果になるときなのです。

是非、目の前のことからはじめてみましょう。
株式会社 船井総合研究所
フードビジネス支援部
石橋恒夫

(公開日 2015年12月6日)

前のコラムへ前のコラムへ
バックナンバーはこちらバックナンバーはこちら

ページのトップへ

ページTOPへ

WEBでのお問い合わせ
  • 商品・サービスその他のお問い合わせ
WEBでのお問い合わせ 商品・サービスその他のお問い合わせ